日本は世界三大宗教のうち仏教が伝わっていますので、お寺で断食がなされています。
600年前の南北朝時代から行われています。
江戸時代には新井白石、寛政の改革で有名な松平定信や二宮尊徳などがここで断食した記録が残されています。
明治時代になってから、1915年(大正4)に小説家、村井弦斎が何度も断食をして、持病を撃退させた記録「断食療法」を書き、断食療法が知られるところとなりました。
同じ頃、法学者、今井嘉幸が、断食で長年患っていた気管支ぜんそくを克服したことで、広く断食療法が知られるようになりました。
断食を科学的に観察したのは、明治時代の後半で、東京帝国大学医学部の大沢教授が成田山で断食をしていた方を紹介し、記録したのが始まりであるようです。
しかし、その後の日本の医療界に受け入れられたわけではありません。
1922年(大正11年)には、国立栄養研究所の高比良英雄博士が、研究所員とともに長期断食を行ない、各研究員が、様々な角度から断食研究を発表しています。
その内容によりますと「われわれは断食を実践し、研究したところ得た結論は、断食は、肉体を改造し、人類に幸福と完全なる健康を与える最良の方法であると確信した。断食中は、自分の体内の脂肪やタンパク質や糖分を消費し、病気になった細胞や病原体を破壊し、老廃物としてすべて体外に排出し、自然に各臓器や肉体を洗浄して、人体は改造され、若返り、病気が治っていく」と報告しています。
1930年には大阪医科大学の大橋博士が自ら断食をして「断食による生理的変化の研究」を書き、免疫力がアップすることを証明した記録があります。
戦後は、東北大学産婦人科の久島教授が心身症、婦人科の病気に断食を用いて効果をあげた研究や、大阪大学医学部を卒業された甲田光雄医師(甲田医院)の断食療法の数々の著作、現役の医師では、石原結實医師の断食に関する受洗的な報告が数多く出版されています。
ただ戦後の日本は国民医療が医療保険制度で断食療法はこの制度外に置かれて、甲田医師は著作と講演、石原医師は、著作と自ら断食道場を経営され、日本の医療制度では断食療法は圏外に置かれています。
私も知り合いの医師に断食について聞きますと、大半が否定的でむしろかなり断食について非難される方も多いのが実態です。
ただ、断食に興味ある医師は、まだ少数でが、変化の兆しは見えています。