ファスティング(断食)施設を運営していて、断食をすすめても絶対しない方の大半は「人間生まれたからには、美味しいもの食べるために人生があるのだから、断食するなど考えたこともないよ。断食など修行者のすることだよ」とよく言われました。
高島に来てからも断食体験施設の農家民宿を立ち上げるといえば、まず、大半の方はそのように言われましたし、「禅の修行道場でもするのか」とかなりの方が言っておられましたが、これは全国共通の認識でしょう。
しかし、断食は修行ではありませんし、健康にいいことを説明しても分からない方も多いのです。
断食する(ファスティング)ことは、どういうことか分からない方には難しいようです。
でもこのような問題意識はあるようです。
少し食べ過ぎではないか。
美味しいものばかり食べていると糖尿病になるのではないかという危機意識です。
昔からのことわざに「腹八分医者要らず」、「腹六分で老いを忘れる」というのは、食べ過ぎへの警告です。
そんなこと分かってはいてもグルメには負けるからと自分に言い聞かせないでください。
なぜなら、最近の長寿遺伝子の発見で「満腹になるまで食べれば早死にする」ことが科学的に証明されています。
この研究の中で食べ放題のネズミより、断食をさせたネズミは、2倍も長生きしたということも発表されています。
これまで食べ放題、食べることをセーブできなかったことをここで立ち止まってよくよく考えてみましょう。
一度、断食してからだをリセットしてみようとこの記事を読まれたらよくよく考えてみましょう。
「酒にふけり、肉をたしなむ者と交わってはならない。酒にふける者と、肉をたしなむ者とは貧しくなり、眠りをむさぼる者は、ぼろを身にまとうようになる」(旧約聖書・箴言第23章20-21節)とありますが、酒に溺れ、肉の食べ放題は、貧しくなり、ボロボロの人生を歩むと警鐘する言葉です。
聖書には他にも食べ過ぎ、飲み過ぎへの警告の言葉がたくさん出てきます。
そしてそれに打ち勝ち、国家をも動かした人もたくさん登場します。
その一人がダニエルでした。
捕囚人として仕えている国王は最高の食事を与えるように命じましたが、それに対して、「どうぞ、十日の間ためしてください。わたしたちにただ野菜を与えて食べさせ、水を飲ませてください」と断食を申し出ました。
そして他の知恵者たちに完全に打ち勝ち、国王の最も信頼するブレーンへと抜擢されたいきさつが書かれています。
断食、少食という半断食は、自分を救うだけではなく、国の支配者も動かすことなのです。
江戸時代の知識人は、「貧乏で美食をする者は、働いても働いても楽にならず、美食を慎まなければ、家を没落させ、出世も成功もおぼつかない」と。
ほんとうのグルメは、早く断食で目覚めて欲しいものです。