膵臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器。
本人側からみて右側のふくらんだ部分は膵頭部(頭部)といい、 十二指腸に囲まれています。
左側の幅が狭くなっている部分は膵尾部(尾部)といい、脾臓( ひぞう)に接しています。
膵臓の真ん中は体部といいます。
膵管という細長い管が、 膵臓を貫いて網の目のように走っています。
膵臓には2つの役割があります。食物の消化を助ける膵液の産生( 外分泌機能)と、
血糖値の調節などをするホルモン(インスリンなど)の産生( 内分泌機能)です。
膵液は膵管によって運ばれ、主膵管という1本の管に集まります。
十二指腸乳頭で、 肝臓から総胆管を通って運ばれてくる胆汁と合流して、 十二指腸へと流れていきます。
膵臓にできるがんのうち90%以上は、膵管の細胞にできます。
これを膵管がんといい、膵臓がんとは、 通常この膵管がんのことを指します。
膵臓は、胃の後ろの体の深部に位置していることから、 がんが発生しても症状が出にくく、 早期の発見は簡単ではありません。
そしてすい臓がんの罹患者数と死亡者数は、年々上昇しています。
両方の数字も大きく変わらない、 つまり死亡率が高いこともすい臓がんの特徴の1つです。
部位別の罹患率でいうと、すい臓がんは男性では7位、 女性では6位。
しかし死亡者数でみると、男性は5位、 女性ではついに乳がんを抜いて4位にまで上昇しています。
2006年のすい臓がんの罹患者数は25,490人となっていま すが、年間の死亡者数は23,366人です。
2010年には、死亡者数が28,000人を越えており、 今後も年々増えていくことが予想されています。
すい臓がんの患者さん全体のうち、8割が60~80歳とされ、4 0代未満での発症はごく少ないことが特徴です。
2005年に発表された「生涯ですい臓がんにかかるリスク」 によると、
男性は54人に1人、女性は52人に1人の割合となっています。
もともとすい臓がんは、日本人には少ないがんでしたが、戦後から 1980年にかけて急激に増加し、
欧米諸国と変わらない水準に達しました。
さらに小さい臓器であるために、浸潤のスピードが速いことと、 血管や神経、リンパ管に囲まれているために
遠隔転移しやすいことが、予後を悪くしています。
このようなことから、 すい臓がんでは罹患者数と死亡者数に大きな差がないと考えられて います。
膵がんは初期には無症状のことが多く、 早期発見の方法が確立されていないため、
多くの場合進行した状態で診断されます。
したがって、膵がんの発症リスクを知ることは、 膵がんの予防につながる可能性があり重要です。
国際的な評価では、肥満は膵がんの確実なリスク要因であり、
若い頃(20歳の頃) の肥満もほぼ確実なリスク要因であるとされています。
ただ、 これらの評価は主に欧米人を対象とした研究に基づいたもので、 肥満の人が比較的少なく、
食生活や生活習慣、 遺伝的背景が異なるアジア人にも当てはまるかは、
アジア人の集団を対象とした大規模な研究は少ないため、 明らかでないのが現状でした。
そこで、今回、日本の9つの大規模コホート研究から34万人以上 を統合したプール解析を行い、
日本人における肥満指数(BMI)と膵がんとの関連を検討し、 その研究成果を専門誌において発表され、
明らかに肥満による膵がんリスクの上昇が確認されています。
本研究は、 アジア人を対象とした研究ではじめて欧米人を対象とした研究と同 様に「肥満は高リスク」であることを示しました。
更に、20歳時BMIの男性における結果は、
20歳までの体重の適切な管理が膵がんの予防にとって重要である 可能性を示しています。
このことからも体重管理は極めて重要なことであり、