前立腺がんは、ゆっくりと進行することが多いがんで、 初期には自覚症状がほとんどありません。
前立腺がんは年々増加する傾向にあり、2016年のがん罹患数予 測では、
男性がかかる部位別のがんで最も多いのが「前立腺がん」でした。
2020~2024年(年平均)には前立腺がん罹患数は105, 800人となり、
男性がんのうち、第一番目の罹患数になると予測されています。
また、前立腺がん死亡数は、2020~2024年(年平均)には
14,700人となり、2000年の約1.8倍になると予測され ています。前立腺がんは、進行度に応じて、3つに分類されます。
ほかの臓器や骨に転移した場合は「転移がん」となります。 前立腺がんが急速に増えた原因として、
まず考えられるのは食生活の欧米化です。
肉や乳製品などの動物性脂肪の摂取が増えていることと関係してい ると考えられています。
特に肥満男性は前立腺がんが進行するリスクが高いという研究結果 が数多く出ています。
過体重(BMI25以上30未満*)または肥満(BMI30以上 *)の男性は、
正常体重の男性と比べて、がんが進行するリスクが3倍になること が分かったようです。
さらに、がんが骨に転移するリスクも、 過体重の男性は正常体重の男性の3倍以上、
肥満の男性では5倍に 上ったというのです。
また、 太っている前立腺がん患者は経過が良くないという結果が多く示さ れています。
その研究では、マウスの研究ですが、 脂肪細胞から分泌される特定のタンパク質が前立腺がんの進行に
重大な役割を果たしていることが明らかになったのです。
欧米では前立腺がんの発生率は日本の約10倍ですが、 その理由の一つは、
肥満や背の高い人が多くを占めるためではないかと推察されていま す。
そのことを説明するメカニズムとして、
前立腺がんに影響を与えるホルモンの分泌が体格によって大きく異 なることがあげられます。
欧米人と日本人では、 血中ホルモン濃度が違うという報告もあります。
また、 前立腺を発達させるのに重要なホルモンであるテストステロンの濃 度も、
肥満の影響を受けると考えられています。
さらに、病気の進行(転移など) に影響を与えるレプチンという物質が、
体格の大きい人でより多いということが指摘されています。
食生活を世界一の健康食は元禄以前の日本食だと指摘したマクガバ ンレポートのように
正しい日本食を食べ、少食にしていきましょう。