子宮は全体として中が空洞の西洋梨の形をしています。
球形に近い形の体部は胎児の宿る部分であり下方に続く部分は細長 く、その先は腟へと突出しています。
この部分が頸部で、 腟の方から見ると奥の突き当たりに頸部の一部が見えます。
その中央には子宮の内腔に続く入り口があり、 この入り口を外子宮口と呼んでいます。
婦人科のがんで最も多いのは、子宮がんです。 子宮がんは子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん) に分けられます。
子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれるように、 胎児を育てる子宮の内側にある、子宮内膜から発生するがんです。
一方、子宮頸部や頸管の上皮から発生したがんが、 子宮頸がんです。
同じ子宮のがんであっても、子宮体がんと子宮頸がんは、診断・ 治療など異なることが多いのです。
ほかのがんと同様に、 子宮体がんも初期に治療を開始した場合ほど治療成績がよいので、
早期に発見(診断)することが大切です。もし、 月経とは無関係の出血、おりもの、
排尿痛や排尿困難、性交時痛、 骨盤領域の痛みなどの症状を感じたら、 婦人科医の診察を受けることが大切です。
最もよくみられる症状は出血です。
特に、閉経後に少量ずつ長く続く出血がある場合は、 早めに婦人科あるいは検診を受診し、 子宮体がんの検査を受ける必要があります。
そのとき、検診で子宮がんの検査という場合、 子宮頸がんの検査だけを指すこともあるので、注意が必要です。
子宮がんになる方は、全体として年間約25,200例。 このうち子宮体がんが約13,600、
子宮頸がんが約10,900、どの部位か情報がない子宮がんが約 700。(2012年 上皮内がんを除く)。
また、子宮がんの死亡数は、全体として年間約6,400人で、 このうち子宮体がんが約2,200人、子宮頸がんが約2,900 人、
どの部位か情報がない子宮がんが約1,300人となっています( 人口動態統計2014年)。
子宮体がんは、 エストロゲンという女性ホルモンの刺激が長期間続くことが原因で 発生する場合と、
エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合があり、約8割はエ ストロゲンの長期的な刺激と関連していると考えられています。
エストロゲンが関係していると考えられる子宮体がんに関しては、 肥満、閉経が遅い、出産経験がないなどの場合に、
発症のリスクが高くなることがわかっています。
また、 乳がんの治療でタモキシフェンという薬剤を投与されていたり、
日本では子宮体がんと診断される人は、40歳代から多くなり、5 0歳から60歳代の閉経前後で最も多くなっています。
近年は食生活の欧米化などに伴い増加しているといわれています。 2
007年の英国の調査で肥満による子宮体癌発症の相対危険率は2 .89(95%CI:2.62~3.18)と
子宮体がんは肥満との関連性が最も高いがんであることが分かりま した。
全世界的には,男性の24%,女性の27%が肥満であるといわれ ています。
特に欧米では3~4人に1人が肥満で,米国では成人の34%, 英国では24%と高く、日本では,
肥満の頻度はまだ3% と欧米諸国と比較すると低いものの徐々にアップしています。
成人女性の20.8%が肥満(厚生労働省国民栄養調査2008) で、成人女性における肥満の頻度は
1982年の21.4%に対して2002年では20.6% とほぼ横ばいですが,子宮体癌の好発年齢である50歳以上の女性 における肥満の頻度は
28.9%から30.0%にやや増加。 高齢人口の増加から実数としては475万人から866万人と倍増 しています。
閉経後女性における肥満の増加が子宮体癌の増加の一因となってい る可能性が高いのです。
ゆえに肥満と認定されるBMI:25以上の方は、 ただちに藤樹の宿で自然体のダイエットを早急にしましょう。