「肺気腫と慢性気管支炎の二つを合わせたものなのです。
肺気腫と慢性気管支炎の症状は一人の患者さんに重なって現れるこ とが多いうえに、
なにより、どちらも汚れた空気を長年吸い続けた結果、 発病するという、原因が同じ病気なのです。
COPDでは、肺の内部が破壊されたり気管支が狭くなって、 息苦しさ、とくに息を吐き出しにくいという症状が現れます。
また、多くの場合、せきやたんが長く続きます。専門的には、 気管支を広げる薬を用いても1秒率
(空気を目いっぱい吸った後、 可能な限り速いスピードで息を吐き出して、最初の1秒間で吐き出 せた量を肺活量で割った値)
が70パーセント未満で、 それが他の病気によるものではないとき、COPDと診断されます 。
COPDは進行性の病気です。
初めのうちは、階段を上るなどの運動時だけ症状が現れるので「 年のせい」と見過ごしがちですが、
次第に軽い動作でも息苦しくなってきます。
そのうち、ふだんの身体活動量はさらに低下し、 食事を摂るのも大変になって栄養状態が悪化したり、
肺の障害から血圧や心臓の合併症も出てきてしまいます。
現在、40歳以上の患者数は530万人 。
年間医療費は、2兆1,507億円。年間死亡数は、1万6, 184人 。
厚生労働省「患者調査」の平成26年調査によると、
慢性閉塞性肺疾患の総患者数( 継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、26万1, 000人です。
性別でみると、男性18万3,000人、女性7万9,000人と 、男性に多いのがこの疾患の特徴です。
この病気の原因として最も重要なのは、紙巻きタバコの喫煙です。
また、米国におけるこの病気による死亡者数は、2010年では1 3万5000人にのぼり、死亡原因の第3位で、1
980年から2000年の間に、COPDによる死亡者数は64% 増加。
白人以外より白人で高いほか、所得の低い層でも高く、 その理由としてはおそらく、 このような集団で喫煙率が高いことが考えられ、
そこに肥満があげられます。アメリカだけではなく、COPDの患 者数は世界的に増えています。
また世界的にみると、 木材や草などのバイオマス燃料に含まれる毒素への曝露が挙げられ ます。
発展途上国では死亡率が上昇している可能性があります。
2030年までに、COPDは世界における死因の第3位になると 予想されているのです。
COPDに対する最も重要な治療は、禁煙です( 禁煙)。
気流の閉塞が軽度から中程度のときに禁煙することで、
多くの場合、せきの回数が減り、たんの量も減少し、 息切れが現れるのが遅くなります。
病気のどの時点で禁煙をしても、ある程度の効果は期待できます。
同時に複数の禁煙方法を試みることで、 禁煙できる可能性が最も高くなります。
しかし、最も効果的な方法を用いたとしても、1年後に禁煙できて いる人は半数に達しません。
また、喫煙するだけでなく、受動喫煙や大気汚染などにより、 空気中に浮遊する刺激物質を吸い込まないようにすべきです。