それでは宿便とは何か、甲田光雄医師の宿便論を叩き台にして、考察していきましょう。
多くの方は、毎日、快便で便秘など一度もないので、
宿便など溜まってはいないと思っている方が、多いと思います。
そこで宿便のイメージとは何かです。ある宿便の本を読んでいますと腸壁に長期間、
こびりついた黒いヘドロのようなもの」とありましたが、本当に宿便とは何かです。
宿便が溜まるのは腸ですが、腸内細菌という微生物が住んでいます。
私たちの腸内にはたくさんの細菌が住んでいます。
これを腸内細菌といい、その内訳は実に100種類以上、数にして約100兆個ともいわれています。
なかでも、回腸(かいちょう/小腸の終わり)から大腸にかけては、
その多様な腸内細菌が種類ごとにまとまって、ビッシリ腸内の壁面に生息しています。
それが、まるで様々な植物が種ごとに群生しているお花畑のようであることから、
腸管における腸内細菌の様相を「腸内フローラ」と呼んでいます。
健康な人の腸内は、善玉菌が悪玉菌を抑える形で腸内フローラが一定のバランスで維持されています。
逆に、何らかの原因で悪玉菌が優勢になってしまうと、
それぞれの細菌は酵素をぶんぴつしていますので、腸の中にある食べ物を分解して増殖しています。
とくに消化の悪い食物繊維もついに分解されて、
となって体内に吸収されていきます。
ゆえに宿便が常に腸管、腸壁などにへばりついているというのではありません。
2週間もすれば、食物は分解され、残留されていくことはありません。
それゆえに1、2年も腸壁にへばりついていないのは当然なのです。
腸粘膜の上皮細胞は、3日に一度は新しく生まれ変わるといわれるほどに
新陳代謝が活発に行われています。
そのために水道管にへばりつくような水垢やへどろのようにくっているものではないようです。
病を患い1年半、寝たきりでこの方を病理解剖し、
腸管を調べたら宿便らしいものはなかったというケースが多く、医師たちの多くは、
「宿便など古来からの言い伝えで、医学上は証明されないから嘘だ」となるわけです。
しかし、この宿便について、新谷弘美医師は、「胃腸は語る」の中で宿便について書かれています、
新谷医師は、アメリカで活躍する医師ですが、
「病気にならない生き方」は超ベストセラーとなった方で、
内視鏡専門医として25万人の腸相を観察して来られた方です。
その専門医が、「宿便がある」と指摘されています。
では宿便の本当の姿はどんなものなのでしょうか。
甲田光雄医師の宿便の定義は
「胃腸の処理能力を超えて、負担をかけ続けた場合、
腸管内に渋滞する排泄内要物を総称して宿便という」と書いておられます。