宿便について甲田光雄医師は、
「胃腸の処理能力を超えて、負担をかけ続けた場合、
腸管内に渋滞する排泄内要物を総称して宿便という」と定義づけられました。
これを次のような譬えで説明されています。
高速道路で毎分100台の自動車が走れるように設計してあるとして、
100台以下なら交通渋滞は起こりません。
しかし、毎分150台の自動車が来たら設計オーバーして、渋滞を引き起こします。
そこにまた150台の自動車が来たら高速道路は大渋滞で身動き取れない状態となります。
このような事態となったら、通行止めにするか通行制限をするしかありません。
渋滞している車を1台、1台とさばくしなありません。
それを人間の腸ではどうなるかということです。
人間の腸は、各人の体質、体格の差はありますが、
自分の胃腸の処理能力を超えないように注意して食べているならば、
食べたものは完全に消化されて、完全に排泄されていきます。
たとえば10の処理能力がある人ならば、8くらいに抑える。
13の人ならば、10か11で抑える食事量にすればいいわけです。
しかし、自分の処理能力を知っているひとはまずいないです。
たとえ分かっていてもその処理能力の範囲内で食欲を抑えることは人間はなかなかできないのです。
たとえば2000㎉の処理能力のある人が、
夕食で美味しいすき焼きのあまりに腹いっぱい食べて、
しかも生ビールをジョッキーで3杯も飲み、
つまみも一杯食べて、3000㎉も食べてしまったとします。
これでは完全に処理能力を超えていますので、腸管内に滞留します。
毎日、排便はあったとしても滞留しています。
さきほどの高速道路の例のように通行止め、
つまりファスティング(断食)か通行制限(少食=減食)すればいいのですが、
それがなかなかできないのが食欲に勝てない人間の愚かさです。
先ほどのすき焼きのケースでありましたように夕食で、
すき焼きを腹いっぱい食べ、ビールも飲み過ぎて朝、食欲もなく、
今日は食べ過ぎので、ダイエットしようと決意し、朝はジュースだけ飲んで、
昼は軽食(ざるそばくらい)にしようと思っていたら、
職場の同僚が出張で買ってきてくれた土産が美味しそうな押し寿司で、
まあ一切れくらいと食べてみたら、ブレーキがきかなく、あまりにも美味しく、
何と3人分すべて食べ尽くしてしまいました。
もうこうなると帰りに駅前の居酒屋でお酒とつまみを食べ、
家に帰ったら田舎から母親が、いっぱい手作り料理をもって待っていてくれたので、
その料理を全部食べてしまいました。
このように減食しようという決意もどこへやら。
このようなことを日々、繰り返して、
この結果、知らず知らずに腸の中に食物残渣が渋滞していくのです。