腸に食物残渣が起こっても交通渋滞のように麻痺するわけではありません。
腸は横に膨張してくれるからです。
そして横に膨らんだ腸は、
風船玉のように蠕動運動(ぜんどううんどう=筋肉が伝播性の収縮波を生み出す運動)が鈍っていきます。
そして「腸麻痺」の状態になります。さらに食物残渣が腸で渋滞して、
腸の中で腐敗と発酵が繰り返されて、そこから有害物質が作られていきます。
しかも腸の働きが鈍くなっていますので、有害な物質は、下部腸管に送り出すことができません。
そして食餅残渣のたまり場となり、それが宿便となります。
また、腸は縦にも伸びて、重力の関係で下に垂れます。
垂れ下がった腸管は、安定が悪いので、癒着をしようとしますが、ねじてれ変形していくのです。
すると腸の内容物がスムーズに移動せず、そこで渋滞(停滞)が発生します。
そしてそこにどんどん宿便が溜まっていくということになります。
こうした宿便の蓄積は、ただちに自覚症状は出ませんし、
毎日、食事を腹いっぱい食べて、食欲もあり、グルメに堪能していますと
ある日、突然、難病が襲います。その時は腸管が相当、変形してしまっています。
飽食、美食を続けてきた結果がまさにこうして思わぬ病気が出てくるのです。
甲田光雄医師が58年間にわたる少食断食を中心とした甲田医院を開設して
数万人の患者さんと向き合ってのこうした宿便の観察は、実に説得力があります。
私も43歳の時、宿便を除去しましたが、やはり甲田光雄医師の指摘はよく分かります。
保険代理店経営で東京に事務所を設け、毎日、接待などで飽食、美食の日々でしたから、
時々、原因不明の腹痛などに襲われていました。
年2回の会社の健康診断では数字には異常はありませんでしたが、何か違和感があったのです。
しかし、宿便を除去してからはまったくそのような違和感はなくなりましたし、
それ以後、25年間、大病はまったくありません。
甲田光雄医師は多くの難病の方たちを診察して、このように指摘されています。
「難病の患者さんが、長年、苦しんでも治らないのは、
このような腸の変形(腸が伸びて癒着したり、膨張していること)に気が付いていないからなのです。
もちろん(現代医学の場合、宿便の存在を否定していますので)主治医は分からず、
表に出てきた病気の症状を診て、そこの局所の対処療法しかできませんから、
いつまでもその病気は良くなっていきません。
劇的な効果をもたらすのは、この病気の根本原因であります、
腸管内に渋滞している宿便を排泄するからなのです。
しかし、こうした難病が好転してもすぐ全快するのではなく、
生涯にわたる少食の実践が必要となります」。