食用油脂は、常温で液状のものと常温で固体状に分かれます。
揚げる(植物油脂、ラード、ショートニング)、炒める(各種油脂)などの調理に使う以外にも
パンに塗る(バター、マーガリン)、ドレッシング(植物油)にするなどの料理に多用されています。
食用油脂の歴史は、最初の利用目的は明かり取りでした。
牧畜を生活手段とする地方では、家畜の乳からつくったバターが油脂となっています。
油に関する記録は記録として残されているのは、やはり旧新約聖書です。
聖書全巻で312回も出てきます。
まず大きな分類ですが、
原料から植物性油脂と動物性油脂に分類されます。
さらに、原料油脂を加工して新しい油脂にしたものを加工油脂(マーガリン、ショートニング、粉末油脂など)。
植物油脂では精製度から一般にてんぷら油やサラダ油などとよばれています。
植物性油脂は、化学的な性格の一つである乾燥の速さによって分類され、
あまに油、桐油、麻実油、サフラワー油、半乾性油、菜種油、大豆油、米糠油、ごま油、不乾性油、落花生油、オリーブ油、椿油などです。
また、植物性油脂のなかには、常温で固体のものは固体脂(やし油、パーム油、パーム核油、カカオ脂など)に分類します。植
物性油脂は原料によってそれぞれ特徴のある風味をもっています。
1・綿実油 綿花をとった中心部の種子から採油する。リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸がおもな脂肪酸。風味がよく、サラダ油やマヨネーズの原料、油漬け缶に用いられます。
2・菜種油 ナタネ(アブラナ)の種子から採油。日本で古くから利用され、絞り取った油は白絞(しらしめ)油とよばれました。特有のにおいがあり、てんぷら油に調合されることが多い。
3・ごま油 ゴマの種子から採油。香りが高く風味がよいものです。抗酸化性物質のセザモールとビタミンE(トコフェロール)を多く含みます。調理上香りをたいせつにするため、精製を控えているので、特有の風味、色合いが残っています。
4・大豆油 大豆の種子から採油。日本でもっとも利用の多い油で、サラダ油、てんぷら油、マーガリンの原料に用いられます。
動物性の食用油脂には精製ラード(豚脂)、バター、肝油などがあります。
また、魚油や鯨油、それに一般植物性油脂は、
水素添加して硬化油にし、ショートニングやマーガリンなどの加工油脂の原料にされます。
油脂は体内でエネルギー源として利用されます。
タンパク質や糖質よりも約2倍強のエネルギーをもつものです。
栄養素としては必須脂肪酸(リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸)やビタミンEの重要な給源で、
おもに植物性油脂に含まれています。
とりすぎると動脈硬化や高コレステロール血症の原因となります。
脂肪は栄養上重要なものですが、脂肪摂取量、とくに動物性脂肪の摂取増加が大きな問題となっています。
動物性に偏らず、バランスよく適量をとることがたいせつです。
生活習慣病として大きな要因の動脈硬化や高コレステロール血症を予防、改善するものとして、リノール酸が注目されています。
そのため、ごま油、米糠油、サフラワー油などが、とくにリノール酸の多い油として健康食品の扱いを受けています。
また、近年になって、魚油に含まれる多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)が、
血栓を防止し、脂質異常症を改善することが知られるようになっていますので、
イワシ、サバ、アジ、サンマといった背の青い魚が健康食ブームで注目されています。