納豆の新しい効能として、このところ、脚光を浴びているのが、
血栓を溶かして、心臓病や脳卒中、あるいは痴呆の予防にも役に立つという作用があります。
血栓というのは、血管の中にできてしまう血液のかたまりで、
血栓が脳の血管の中で起これば脳梗塞、心臓の筋肉内で発生すれば心筋梗塞などになるわけです。
脳の中の血管が詰まるなどして起こるのが、
脳血管性の痴呆で、我が国の痴呆の60パーセント前後が、
このような血栓によるものとみられています。
納豆のネバネバに含まれていることが、倉敷芸術大学の須見洋行教授によって発見され、
教授はこれを「ナットウキナーゼ」と名づけました。
納豆を食べることによって、恐ろしい血栓の発生を防ぐことも、可能になったのです。
ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、
医者はウロキナーゼという血栓溶解剤を投与しますが、
その際の一回分の量と同様の作用が、納豆100グラムで得られるそうです。
ネバネバに含まれているナットウキナーゼは、生きた酵素であり、
70度以上の高温になると、活性力は失われてしまいますので、
人肌くらいのご飯にかけて食べるのが理想的です。
血栓は就寝中にできる場合が多く、夕食に納豆を食べれば、より効果的です。
「寿命は神の恵みであるが、若さを保つことは、何を食べるかである」と、
よくいわれますが、若さを保って長生きするためには、
まさに、何を食べるかですが、重要な鍵は日本人の大好きな「ネバネバ食品」です。
その横綱はもちろん納豆です。
他にも「ネバネバ食品」は、
ヤマイモやサトイモ、ジュンサイ、オクラ、ナメコなどのキノコ類、
昆布やワカメといった海藻類、
ウナギやドジョウ、ナマコ、ニワトリの卵など、みんなネバネバしていますし、ヌルヌルしています。
これら「ネバネバ食品」は健康食や強壮、強精食として知られているものばかりです。
ネバネバした粘性物質を「ムチン」といいますが、
健康や美容、とくに、不老長寿には欠かせない成分です。
体細胞の若さを保ち、その老化を防ぐという重要な役割を果たしているからで、
年をとって、ムチン質が少なくなると、体細胞の保水性、
つまり、みずみずしさが減少して、皮膚に小じわが増え、肌に弾力性が失われていきます。
加齢によって老化する体細胞の若さを保つ、ひとつの方法が、
ムチン質の多いものをコンスタントに食べること。
もちろん細胞の原料となる、良質のタンパク質を中心としたバランスのよい食事も欠かせません。
そして今、研究が重ねられ注目は納豆の「がん予防」の効果です。
納豆にふんだんに含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをし、
乳がんや前立腺がんを予防できるということが知られてきたのです。
最新の研究では、納豆由来の「抗菌ペプチド」という物質が、
がん細胞の死滅に効果があることが分かってきています。