薬がかかっていない野菜などあり得ないと思うかもしれません。
実際に自宅で野菜を栽培してみたら分かりますが、
まったく農薬を使用しないで野菜を栽培することはほぼ不可能です。
現在、農産物を販売する場合「無農薬」という表示を使ってはいけないとJAS法で定められています。
このJAS法は、「農林物資の規格化等に関する法律」といい、
終戦時の物資不足による模造食品の横行で健康被害等が多発したため、
それを防ぐ目的で施行された法律なのです。
今日では全ての食品に表示が義務づけられるようになり、
平成21年に食品の産地偽装に対する直罰規定が創設されています。
それでは、なぜ「無農薬」の表示が認めてられないかというと、
「無」は定義こそ可能ですが、証明することはできません。
数学的に「無」=「0」だとして、例えば、春に種を蒔き、
一切農薬を使わないで栽培し秋に収穫したとしても、
前年に農薬を使っていれば、残留農薬が検出されます。
20年間農薬を使わないで栽培したとしても、農薬の種類によっては微量に検出される場合があり、
それが人体に影響がある量かは別にして「0」ではないからです。
では、逆に「無」=「1未満」とすると、仮に、超有毒な成分でも1未満であれば
「無農薬」になってしまうのです。
この論理は食品添加物ではかなり使用されていますが、
農産物は、定義が曖昧で消費者が判断するのに不適当という理由で
平成19年「無農薬」の表示は禁止されたのです。
それでは今まで本気で無農薬栽培をしていた農家はどうしたのでしょうか。
大きく分けて
1.「有機栽培」にシフト
2.「特別栽培」に表記を変えた
3.「無農薬」をやめた
4.そのまま販売を続けた
でしたが、1が圧倒的に多く、
・農薬や化学肥料は原則として使用しないこと。(ただし、農薬物に急迫または重大な危機がある場合であって、通常の有機農産物に係わる防除方法のみでは有害動植物を効果的に防除できない場合に限り、有機農産物の国際基準に準拠した30種類の農薬の使用は認められています。)
・種まきまたは植え付けの時点からさかのぼり2年以上(多年生作物にあっては、最初の収穫前3年以上)、禁止されている農薬や化学肥料を使用していない水田や畑で栽培されていること。