日本の医療費が年間40兆円を突破したのが、2014年です。
特に多いのが、高齢者の医療費の急増で医療費全体36%を占めています。
人口の高齢化に伴って高齢者の医療費が増えるのは当然という見方もありますが、
金額的にみると75歳以上の人が1年間に使った医療費は1人当たり平均で93万円、
75歳未満が21万円なので4倍以上です。
65歳以下の現役世代はさらに少ない医療費しか使っていないので、
終末医療を含め、高齢者への医療のあり方が問われています。
2015年の時事通信の記事は次のように書いています。
――厚生労働省は7日、2013年度に病気やけがの治療で医療機関に支払われた国民医療費(確定値)が、
前年度比2.2%増の40兆610億円だったと発表した。
年間の医療費が40兆円を突破するのは初めて。
1人当たりでは2.3%増の31万4700円となり、医療費全体、1人当たりとも7年連続で過去最高を更新した。
高齢化の進展や医療技術の高度化などが増加の主な要因。
労災や全額自己負担の分を除く14年度の概算医療費(速報値)は39兆9556億円だったが、
実際には13年度の段階で40兆円を超えていたことになる。
65歳以上の高齢者の国民医療費は23兆1112億円となり、
全体に占める割合は57.7%(前年度56.3%)に拡大した。
1人当たりでは72万4500円。
これに対し65歳未満は17万7700円にとどまっており、約4倍の開きがある。
2015/10/07 時事通信社――
では40兆円はどこで賄われているかです。
40兆を突破した13年度の国家予算は、92兆6115億円で
社会保障費に充てた額は29兆1224億円。
この国家予算、つまり「税金」と「保険料」と「自己負担金」で賄われた医療費の総額です。
そして診療報酬として医療機関へ、調剤報酬として薬局へ支払われていますので
この年保険料と自己負担金は約11兆円となります。
保険料を賄う各保険組合が実質的な財政破綻にかぎりなく近いようなのです。
そうなると社会保険料を含めた税収を増やすのか
自己負担額を増やすのかが問われています。
つまり医療費の財源のうち半分は医療保険と健康保険の負担で
企業の健康保険組合の財政が悪化しているわけです。
当然、その穴埋めは企業(事業主)や社員である保険契約者(被保険者)
が行うことになるのですが、企業が供出金を増やしたり、
保険契約者の保険料が引き上げられることになっていきます。
こうして保険料負担が増えれば家計の可処分所得は圧迫されます。
医療費のこのような増加のツケは、
国財政、企業経営や家計の負担増加にも及んでいる深刻な問題なのです。