前回に書きましたように65歳以上では認知症の前段階である
軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されていますので、
65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算なのです。
現状の約1.5倍となる700万人を超えるとの推計が発表されました。
これにMCI患者数を加えると、約1,300万人となり、
65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍といえることになりそうです。
また認知症専門医の間では、MCIの数はもっと多いはずだという声も多く、
MCI患者だけで、1,500万人を超えるという見解を持っている医者も少なくはないようです。
認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、
アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症が挙げられます。
約20%は脳血管型認知症によるものとされています。
そのため、一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方が多いのです。
物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがありが、
前者は、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、
ヒントがあれば思い出すことができます。
本人に自覚はありますが、進行性はなく、また日常生活に支障をきたしません。
しかし、後者は、脳の神経細胞の急激な破壊による起こり、
物忘れは物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントを与えても思い出すことができません。
本人に自覚はないが、進行性であり、日常生活に支障をきたします。
脳は、人間の活動をほとんどコントロールしている司令塔です。
それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
かつては痴呆症といわれていた「認知症」とは、
いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、
働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、
生活するうえで支障が出ている状態のことを指しますので、
認知症という名の病名ではなくてあくまで「症候群」なのです。
つまり医学的には、まだ原因、その対応はすべて途上になるということで
原因も治療も確定されていません。
まず、認知症の症状は、脳の神経細胞の破壊によって起こる症状で、
代表的な症状は記憶障害です。
特に、直前に起きたことも忘れるような症状が代表例です。
その一方、古い過去の記憶はよく残りますが、
症状の進行とともに、それらも失われていきます。
また、筋道を立てた思考ができなくなる判断力の低下、
時間や場所・名前などが分からなくなる見当識障害などがあります。
さらに周辺的な症状は、脳の障害により生じる精神症状や行動の異常をいいます。
具体的には、妄想を抱いたり、うつ感や不安感、無気力といった感情障害などの精神症状と、
徘徊、興奮、攻撃、暴力などの行動の異常が見られます。
これらの周辺症状は脳の障害を背景に、その人の性格や環境、
人間関係などが絡み合って起きるものです。
そのため、症状は人それぞれ異なり、また接する人や日時によっても大きく変わってきます。