世界の資源は無限ではありません。
そして特に食糧は、今後、驚異的な人口増加を吸収できるのかです。
2018年7月、Newsweek (ニューズウィーク日本版)で
「2055年危機 100億人の世界」が特集されました。
その内容は衝撃的です。
・・・明日の朝には、地球人の数が今日よりも22万7,000人ほど増えている。
読者がこの記事を読み終えるまでに20人の赤ん坊が生まれる。
現在の経済・社会的趨勢から計算すると、
人類は地球の持続可能なレベルを5割も上回るペースで資源を消費している。
国連の世界人口予測2017年版によると、
地球の総人口は現在の75億5,000万人から30年後には85億5,100万人に達し、
55年には100億人を突破すると考えられる。
全ての人類がアメリカ人並みの生活を送るとしたら、地球5個分の資源が必要になる。
このままではエネルギーの枯渇は必至で、世界的な資源不足で緊張・対立が深まり、
資源の争奪戦が勃発するだろう。
地球は悲鳴を上げている。私たちはエネルギーや水の消費などによって
地球の資源に負担を掛け続け、
ついに人間の生活を支えてくれるこの星の能力の限界を超えてしまった。」
そして追い打ちをかけるのが地球温暖化問題です。
温暖化は人口爆発の直接的な結果で、
いくら楽観的なシナリオでも、深刻な影響をもたらそうとしています。
つい最近も、南極大陸の氷の消失スピードが予想以上に速く、
過去5年間に限っても3倍に加速したと報告がありました。
このままだと海面の上昇が予想以上に進み、
世界各地で洪水による被害が頻発し、このままでは南極と北極の氷が全て、
向こう30年以内に消失する可能性があるとも言われています。
今、生まれた人が80歳まで生きれば、
その頃の海面は今より1~2メートル高くなっているかもしれないのです。
そうなれば沿岸部の都市は水没し、太平洋の島国はすべて海にのみ込まれてしまいます。
最悪の場合、今世紀中に何億もの人が家を捨てて高台に避難せざるを得なくなるか、
あるい魚になるかしかないのです。
海面上昇のほかにも、温暖化はさまざまな影響をもたらし、
世界中で干ばつが頻発し、嵐は今よりも強くなるでしょう。
気温が上がれば水分の蒸発量も増えるから、地面が乾き、砂漠化が進みます。
竜巻は増え、深刻な熱波の襲来が増えていきます。
国連が警告しているように、現在の傾向が続けば、
30年における水需要は供給可能な量を40%も上回る恐れがあり、
人類が消費する水の70%は今も農業に使われていますが、
よほどの技術革新がない限り、水資源は絶対的に足りなくなるのです。
人口の増加により、世界の食糧需要は30年までに35%も増える見通しです。
20世紀の後半に年率2%台を維持していた農業生産性の向上率も、
今は1.1%程度で頭打ち。
産業革命以降、ほぼ一貫して下降傾向にあった食品価格も、
今後は世界的に上昇に転じていく可能性が高くなります。