アメリカのような食生活、
そして豊かなった都市住民ほど肉食を好むので食肉需要は急増しています。
それは地球の生態系と私たちの社会経済システムに
持続不能な負担をもたらすものとなっています。
例えば食肉1キロを生産するには鶏肉でも約4,300リットル、
牛肉なら約1万5,400リットルの水が必要とされます。
対して水稲1キロの生産に必要な水は約2,500リットル。
パン1キロなら1,600リットル、ジャガイモ1キロなら300リットル弱で済むのです。
500グラムのステーキを1枚食べれば
約7,000リットルの水を捨てることになりますが、
私たちはそのようなことは全く考えもせず、ただ肉を食べ、平気で食べ残しを捨てています。
どう見ても持続不能なことをしています。
そして増え続ける人類に好きなだけ肉を供給できるほどの水も土地も、
この地球上にはありません。
限界があるのですから、生産と消費の在り方を変えていく必要があります。
このような深刻な事態が予測される一方、
実は食糧供給は十分持続可能だという見方もあります。
いま生産されている食糧の半分以上は、人々の腹を満たすことなく、
流通過程の非効率などのため廃棄されているからです。
ゆえに今後は、
水利用の効率を改善と農業生産や食品流通の技術を大幅に向上されないと
自然災害から来る飢饉だけではなく、
人為的な原因による食糧不足が社会不安を一層、煽ることも考えられます。
豊かな国の人々は、食品価格が上がっても愚痴をこぼす程度で済むでしょう。
しかし、最貧国では、その負荷の大波の直撃には耐えきれません。
温暖化や水不足、農業の危機により、
祖国を捨てて豊かな国へ移住する人も増加していきます。
農業の生産性が向上し、経済全体の生産性も高まると農業従事者は減り、
都市に移り住む人が増えていきます。
ゆえに世界中で都市化が進むわけです。
1950年に都市部で暮らしていたのは世界の総人口の30%でしたが、
2050年には70%になる見通しです。
その結果、世界全体の経済成長は続くでしょうが、
一方では、エネルギーの消費と、水や食糧の需要も世界中で一段と増えていきます。
エネルギー消費量も二酸化炭素排出量も驚異的ペースで今、増加を続けています。
世界史では、この1700年間に人口1人当たりのエネルギー消費量は一貫して増え続け、
総消費量は2050年時点で現在より80%ほど多くなると予想されています。
この事態に対処する技術革新と効率改善しかありません。
専門家はまだ間に合うといいますが、
すでに需給バランスの調整にはいつも綱渡りのような危うさが伴っているのです。