少食健康法を58年間、唱え続けられた甲田光雄医師は、
「断食・少食健康法」で、
「(当院で厳しい少食をある期間実行し、その少食にも慣れてくると、
もはやそれが特殊な食生活であるという観念が薄れてきます。
まさに少食に病なしで、それが終生の習慣になってこそ価値が現われてくるのです。
単なる思いつきや一時的な戦略としては後が続かず、
またもとの大食、飽食に戻ってしまうのが常のようです。
大切なことは少食の習慣を身につけることです。
少食の実行も、この域にまで進まないうちはまだ本物とはいえません。」
と書いておられますが、甲田医師が言われる「少食の習慣を身につける」ことが第一です。
これは意思の問題であると同時に自分の人生設計でもあるのです。
寺島実郎さんが、「ジェロントロジー宣言」というNHK新書の中で
「100歳を行く抜く、知の武装(ジェロントロジー)が必要だ」と提言しておられます。
私は100歳をめざすという目標設定さえあれば、まず資本は健康であり、
健康を生き抜くことこそ知の武装(ジェロントロジー)の基礎だと思いますので、
少食に移行する強い意志を持っていただきたいと念願しています。
ジェロントロジーに生きるとは何かを考えてみましょう。
1・医療(からだ)エロントロジー
日本の平均寿命は世界一ですが、健康寿命はそうではありません。
およそ10歳も下回ります。現在の日本の医療費(2015)では年間、42.4兆円ですが、
その6割を60歳以上が占め、その5割は70歳以上です。
10後の2025年には、52兆円となる予想です。
介護職員数は、2000年度が55万人が2015年に183万人、2025年は247万人、
2035年には300万人、2050年には500万人も必要だということです。
このままでは医療費、介護費破綻は間違いのないことになり、
高齢者の健康寿命をアップさせ、病気にならないための医療が必要とされてきます。
からだだけではなく、高齢者の孤独問題もクローズアップされています。
2・金融(おかね)エロントロジー
今、日本の金融資産の保有状況をみますと60歳以上が貯蓄の6割、
有価証券の7割を保有するということで
アベノミックスの株価アップ政策に拍手を送る60歳以上の人々は、
シルバー・デモクラシーではなく、エコノミックオンリーというデモクラシーを選択しています。
今、高齢者人口3400万人のうち15%の500万人は金融資産が5000万以上。
また20%の700万人は金融資産が1000万以下で年金と所得の合計は200万以下で
「下流老人」といいます。
残り2200万人は中間層老人で病気、介護、事故でいつでも「下流老人」に転落する層なのです。
ゆえに今、生活保護受給者164万世帯の半数が高齢者世帯となっています。
金融エロントロジーはすでに保険会社、証券会社がそのものの名前で商品化しているほどですが、
それだけのマネーゲームでよいのかです。
アメリカが今もそうですが、かつての明治時代でもあった若者を育てるための投資が本来、必要なのです。
自分の欲望を満たすためだけの金融エロントロジーだけでは
あまりにも空しいのではないでしょうか。