寺島さんは、ジェロントロジーに生きる大きな秘訣は宗教にあると見ておられます。
少食ファスティングでも食の戒律、戒めを明確しているのはやはり世界三大宗教なのです。
日本では仏教伝来は朝鮮半島からでしたが、
そこから入ってきたのは食を戒める動物の殺生を禁じる戒めでした。
したがって江戸時代が終わるまで肉食は卑しいものが密かに食べるものでした。
野山で採れる動物の肉はイノシシを牡丹とか、
鹿は紅葉という隠語を使用して密かに山奥で食べられていたものです。
そしてそれ以外に牛などを食べられる店は「ももんじ屋」といわれ、
けだもの屋と言う意味で別名山奥でしか食べられないので山奥屋ともいわれました。
しかし、明治維新になり、300年の遅れを取り戻すために
その一つが西欧の食事を真似ることから始まったのが牛肉を食べることでした。
文明開化は肉食の始まりということになったのです。
日本の古い習慣を捨てることが文明開化であり、
これまで江戸時代に御法堂であった肉食が、牛肉を食べることが流行となり、
牛鍋が大流行します。
いわゆるすき焼きです。
牛肉を食べる人をハイカラ(高襟)とよび、牛肉を食べることは、
まさにハイカラの象徴となりました。
明治から西欧化の名のもとに日本の仏教が伝えてきた戒めを完璧に破ってしまうことになり、
それが太平洋戦争に負けた時から更に加速していきました。
それはアメリカで余った小麦と肉で日本をマインドコントロールし、
日本の伝統食である米、発酵文化を完全にアメリカナイズしていきました。
日本は明治時代に捨てた仏教の食の戒律をさらに完璧なまでに捨て、
その同化政策に乗せられ、肉とパン、牛乳が支配していくことになります。
まさに日本食の崩壊です。
皮肉にもアメリカ上院栄養問題特別委員会(マクガバンレポート)は、
世界一の健康食は、日本食(ただし元禄以前の日本食)だと報告し、
アメリカが大きく食と医療が変革していく1970年代とは真逆の道を選択してしまったのです。
そして日本の仏教ではお坊さんもいつの間にか肉食になり、
キリスト教会など率先して肉食の最先端をいくことになります。
日本のキリスト教会で会食会、キャンプの主役は必ず肉です。
ましてや日本キリスト教団ではお酒も飲み放題です。
つまり食の戒律は日本に存在しない国になり果てたのです。
しかし、少なくとも世界三大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)では、
厳格に食の戒律を厳守している宗派があります。
キリスト教でもセブンスディーアドベンチスト派は、聖書に照らしてベジタリアンを徹底しています。
イスラム教では生活全般において戒律があり、
食べ物に関しても「食べてよいもの」と「食べてはいけないもの」が細かく定められています。
イスラム教の教えで食べてよいとされている食べ物を「ハラルフード」と呼びます。