玄米は、本来は稲の種ですから、水分と温度の条件が整えば芽が出るはずです。
しかし、日本のお米のほとんどは、バーナーなどの炎で強制的に加熱乾燥されているので、
言わば「死んだ米」になっていて、水をやっても発芽しません。
つまり、玄米は、生命エネルギー豊かで、生きているお米といえるのです。
玄米は、その小さなひと粒ひと粒に、ビタミンやミネラルなど、豊富な栄養素をバランスよく含んでいることから、
「完全栄養食」と呼ばれています。
玄米の胚芽や糠(ぬか)には、たいへんすぐれた栄養素が多く、
特にビタミンB群
(B1、B2,B6,ニコチン酸、パテントン酸、イノシトール、コリン、葉酸等)が含まれています。
ビタミンB群は、エネルギーをつくり出す代謝を助ける働きがあるため、
人間の身体には必要不可欠な栄養素です。
どんなに炭水化物を摂取してもこのビタミン類が不足するとエネルギー化が進まず、
その結果、疲れやすくなったり病気になったりします。
砂糖、お菓子、パン、麺類などで炭水化物をとっても、ビタミンB群を補給しないと栄養になりません。
つまり玄米はおかずつきごはんということが言えるのです。
ビタミンは糖質や脂質、タンパク質のように、血や肉になったり、
エネルギー源になったりする栄養素ではありません。
しかし、わずかな量で、エネルギー代謝を活性化し、
免疫力を高め、からだの機能強化やバランス調整を行うなど、
からだにとってなくてはならない栄養素です。
現在、確認されているビタミンは、約25種類(ビタミン用作用物質を含む)あり、
これらは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンとに大きく分けることができます。
そのうち、主なビタミンには次のものがあります。
ビタミンA
胃腸や気管支、目、鼻、のどなどの粘膜を強化。皮膚の状態を整える。視力障害を防止。多く含まれる食品:レバー、うなぎ、β-カロテンを多く含む緑黄色野菜、みかんなど
ビタミンB1
糖質をエネルギーに変える。ごはんやパン、砂糖などの糖質の分解を助ける。疲労物質である乳酸を分解し、疲労を回復。精神安定にも働く。
多く含まれる食品:魚介類や豚肉、豆類、穀物、野菜など。
ビタミンB2
脂質の代謝を促進し、細胞の再生を促し、粘膜を保護する。「発育ビタミン」ともいう。
多く含まれる食品:豚肉、レバー、大豆や他の豆類、落花生、玄米ご飯、胚芽米、小麦胚芽など
ビタミンB6
多く含まれる食品:かつお、まぐろ、さけ、さんま、牛レバー、さば、バナナ、いわしなど
ビタミンB12
葉酸と協力して赤血球の産生にはたらく。神経細胞内のタンパク質や脂質、核酸の合成を助け、神経系を正常に働かせる。
多く含まれる食品:レバー、かき、さんま、あさり、しじみ、にしん、いわしなど
皮膚や粘膜を丈夫にする。脳神経の働きを助け、血行をよくする。
多く含まれる食品:たらこ、かつお、まぐろ、あじ、さば、なまり、ぶり、レバー、玄米ごはんなど
副腎皮質ホルモンの合成や免疫抗体の産生にはたらく。善玉コレステロールを増やす。
多く含まれる食品:レバー、子持ちがれい、たらこ、いわし、納豆、干し椎茸など
ビタミンB2と協力しあい、赤血球の産生や抗体の産生にはたらく。遺伝子物質DNA合成に不可欠。
多く含まれる食品:レバー、菜の花、枝豆、からし菜、春菊、ほうれんそう、かぶの葉など。
細胞膜を構成するリン脂質の成分となる。脂肪の肝臓への過剰蓄積を防ぐ。
多く含まれる食品:発芽玄米、小麦胚芽、キャベツ、さつまいも、グレープフルーツなど
ビタミンC
細胞の合成組織であるコラーゲンの合成に働き、血管や皮膚、粘膜、骨を強くする。免疫力を強め、抗酸化作用、抗がん作用、抗ウイルス作用、解毒作用がある。血中コレステロールを下げる。
多く含まれる食品:アセロラ、グァバ、いちご、みかん、ネーブル、柿、キーウイ、グレープフルーツ、はっさく、いよかん、メロン、みかん、赤ピーマン、菜の花、芽キャベツ、ブロッコリー、かぶの葉、西洋かぼちゃ、からしな、ほうれんそう、さつまいもなど
ビタミンE
強い抗酸化作用で、活性酸素からからだを守り、老化・生活習慣病を予防する。毛細血管の血行をよくし、心疾患を予防する。
多く含まれる食品:にじます、うなぎ、あゆ、はまち、子もちがれい、たらこ、アーモンド、ひまわりの種、植物油、モロヘイヤ、だいこんの葉、小麦胚芽など。
ビタミンD
カルシウムとリン酸の吸収を助け、強い歯や骨を作る。
多く含まれる食品:さけ、にしん、かわはぎ、いわし、さんま、うなぎ、いさき、きくらげ、しいたけなど
ビタミンQ
(コエンザイムQ)
新陳代謝を促進。強い抗酸化作用をもつ。
多く含まれる食品:レバー、モツ、牛肉、豚肉、かつお、まぐろ