ガンマ-オリザノールは米糠の有効活用です。
γ-オリザノールには別の作用もあります。
γ-オリザノールは、体に吸収されにくい植物性ステロールであり、
コレステロールの吸収を阻害する作用があるのです。
そのため、食物と同時に摂取すると、消化管からの吸収がゆっくりになります。
すると、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンが効きやすくなり、
脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなる。
これらの作用により、γ-オリザノールは食欲を抑制する働きをするのです。
研究チームは、γ-オリザノールがインスリンを分泌するβ細胞の減少を抑え、
回復する作用があることも世界ではじめて明らかにしたのです。
γ-オリザノールが小胞体ストレスを抑えβ細胞の細胞死を抑制し、
インスリン分泌能を高める作用をするというのです。
「人類が古来、慣れ親しんできた自然な食品の中に、
健康的な食行動への回帰を促し、
2型糖尿病やメタボリックシンドロームを改善する
栄養素が豊富に含まれていることが発見できたことは画期的だ」と
琉球大学の益崎教授は説明している。
その名は、玄米発酵飲料「玄米オリザーノ」です。
γ-オリザノールを豊富に含むのは玄米に限られる。
だが、毎日食べたいと思っても、特有の食感や匂いが苦手という人は少なくない。
そうした人向けに、玄米のγ-オリザノールを利用した食品の開発も進められているのです。
益崎教授らの研究成果を実用化した、
玄米発酵飲料「玄米オリザーノ」が販売されている。
人を対象とした臨床試験も行い、食欲を抑制する効果があり、
肥満やメタボの抑制する効果があることが確認されています。
「玄米オリザーノ」は2013~15年に琉球大学と福島県ハイテクプラザ、
会津天宝が産官学共同研究で開発し、
科学技術振興機構(JST)が、東日本大震災での被災地域の企業を支援するために、
産学官の共同研究を進めている事業の成果。
コラボレーションにより商品化に成功し、昨年8月に発売しました。
同財団で健診を受けた人で食生活の改善が必要なメタボリック症候群の人に、
玄米発酵飲料と、それと比べるための飲料(白米の甘酒)をそれぞれ1ヵ月ずつ飲んでもらい、比較。
その結果、「玄米オリザーノ」の摂取後は、
「間食の回数」と「高脂肪食への嗜好」が有意に減っており、
ファストフードを好まなくなるなど変化があった。
そして腸内細菌の構成の変化についても調べたところ、
ドリンクの摂取によりメタボや肥満を抑制する善玉菌の比率が増え、
肥満を促進する悪玉菌が減っていることも分かったのです。
商品は会津産玄米を原料としており、砂糖を使わないノンアルコールタイプ。
自然な甘さの中に歯応えのある玄米の粒が適度に混じり、
飲み物と食べ物の中間のような食感だ。
農林水産省の本年度「フード・アクション・ニッポン・アワード」で優秀賞を受けたのです。
せめて1食の白米ごはんを「玄米オリザーノ」180gに置き換えることが推奨されています。