イノシトールは無色の結晶であり、これを口にすると、ヒトには甘く感じられる。
イノシトールは地球上の生物の生体成分の1つとしてグルコースを原料として生合成される。
このため、例えば、穀物の糠や豆類や果物といった植物にも含まれるし、
動物の肉や魚などにも含まれるなど、地球上の多くの生物の体内に含有されている。
また、多くの植物の種子などに含まれることが知られているフィチン酸は、
イノシトールの持つ6個のヒドロキシ基の全てがリン酸エステルとなった構造をしており、
これは植物の組織内でのリン酸の貯蔵形態として知られている。
イノシトールもオスモライトとして利用されていることが知られている。
もしも数日以上続く細胞外液の浸透圧の上昇があれば、それに対抗するため細胞内に
イノシトールを蓄積させて、細胞内の浸透圧を上げることで、細胞内の水分を保持しようとする。
このグリア細胞や神経細胞におけるイノシトールの濃度変化には数日を要するため、
長く続いた細胞外液の浸透圧が高い状態を、もしも急激に補正するようなことをしてしまうと、
すぐには蓄積させたイノシトールを細胞外に捨てることができないため、
細胞内に水が流入して、脳浮腫を起こす可能性があることも知られているので、
この補正は時間をかけて行わなければならない。
逆に数日以上続く細胞外液の浸透圧の低下があれば、
細胞内のイノシトールを減らして浸透圧を下げて、細胞内への水分の流入を阻止しようとするなど、
全く逆のことが起こるので、やはり補正には時間をかけなくなてはならない。
また、セロトニン異常に起因するうつ病、パニック障害、強迫性障害に有効とされる研究結果もある。
(ウィキ出典)
イノシット Inositともいう。ときにビタミンB複合体に含められる有機化合物で,
化学的構造 ( C6H12O6 ) はブドウ糖によく似た環式六価アルコール。
融点 225~227℃,光学不活性,水に可溶,アルコールにはやや可溶、エーテルに不溶。
甘味がある。
9種類の立体異性体があって,そのうちの4種類が自然界に存在する。
最も普通のものはミオイノシトール (メゾイノシット) で,遊離状態では,
筋肉,心臓,肝臓,脳,卵黄,大豆,小麦胚などに見出される。
動物臓器の細胞中ではリン脂質として,
植物中ではフィチン (フィチン酸のマグネシウム塩) として存在することが多い。
過コレステロール症,肝硬度症などに適用される。
人体内にも大量に存在する必須栄養源で,おそらく体内で合成されている。
(ブリタニカ国際大百科事典)