神経伝達物質と遺伝と栄養の関連ですが、
葉酸活性化遺伝子変異があるとドーパミン、セロトニンは減少します。
するMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)は、葉酸の活性化に必要な酵素ですが、
この酵素を作る遺伝子に変異が起きてうまく働かない場合、
結果として体内におけるメチル化反応(メチレーション)が低下します。
すると、シナプスにおいて余った神経伝達物質を取り込む輸送タンパク質が作られるようになり、
その結果、シナプス間隙におけるドーパミン、セロトニンは減少します。
同様に、ビタミンD受容体遺伝子に変異があるとドーパミンが減少します。
クレアチン合成酵素遺伝子に変異があるとドーパミンが増加します。
このように、神経伝達物質の量は遺伝の要因を強く受けています。
栄養についてですが、ドーパミンが材料であるLドーパから生成される際にはビタミンB6が必須です。
5HTPからセロトニンが作られる際にもビタミンB6が欠かせません。
つまり、ビタミンB6が足りないとセロトニン、ドーパミン共に低下します。
また、ドーパミンからノルエピネフリンへの転換には、銅が必須なのですが、
銅が体内に多すぎる場合、この転換も過剰に起こってしまい、
その結果、ドーパミンの低下とノルエピネフリン過剰が起こります。
遺伝的に弱い部分は栄養で補ってあげればいい精神疾患をもつ多くの方は、
体内でのビタミンB6の働きが弱かったり、体質として銅が多めだったりすることがあります。
その場合は、ビタミンB6や、銅を体内から排出する効果のある亜鉛を補ってあげることで、
神経の働きを正常化させることができます。
このような生化学治療をうまく行うためには、
現在の神経伝達物質バランスを正確に見極めることが大切になります。
ただ生化学治療で薬、サプリメントの多用は問題です。
やはり一番大事なのは、胃や腸が健康であることです。
食べ物をきちんと消化できるためなのです。
そして腸内環境が悪化すれば成合されず、日頃から腸内環境を保つ必要性があります。
そして一般的に言われていますのは、
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどのメンタルヘルスに関連の深い神経伝達物質は、
たんぱく質からつくられます。
おにぎりやパンだけなどの偏った食事が多いとたんぱく質が不足し、
神経伝達物質の材料が不足してしまいます。
たんぱく質をアミノ酸に変え、脳の栄養や神経伝達物質の材料にするのにも、
ブドウ糖からエネルギーをつくるのにも、ビタミンB群が不可欠です。
植物性たんぱく質や精製食品ばかり食べていると、ビタミンB群が不足しがちに。
鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの材料。
不足すれば貧血になり、脳に十分な酸素を運べなくなる他、
ブドウ糖をエネルギーに変える力も弱まります。
これも脳の機能低下を招く原因の一つ。
肉や魚の赤身に含まれるヘム鉄の補給が特に大事です。
セロトニンなどの神経伝達物質は、脳だけでなく、腸でもつくられるといわれています。
そのため、活発な腸の働きが大切ですが、食物繊維が不足すると腸の働きが悪くなり、
脳にも影響が。ストレスがかかると、ビタミンCとカルシウムが消耗されます。
ストレスが多いほどどちらも必要な上、不足すると脳もストレスの影響を受けやすくなります。
実は、脳の約60%は脂質でできており、
魚の脂質に多いDHAなどの不飽和脂肪酸が脳細胞の働きを活性化させるといわれています。
この脂質が不足すると、脳が疲れやすくなる可能性も考えられます。