貧血を軽んじることはできません。
まず貧血は、バランスのとれた食事をしていないことが大きな原因と考えられますし、
大量の飲酒でもこのタイプの貧血を引き起こします。
また、胃腸の障害で食事からビタミン類を十分に吸収できない場合にも、
このタイプの貧血が起こります。
なお、現在ではこのタイプの貧血に対しては、
葉酸やビタミンB12を投与するなどの治療法が確立されていますので、
過剰な心配をする必要はなさそうです。
病気などによる出血の場合は別ですが、貧血気味という程度の状態なら、
毎日の食生活の改善などで解消できる場合がほとんどです。
鉄分は、食事で摂ったもののうち10%程度しか体内に取り込まれないといわれるほど、
吸収されにくい栄養素です。そのうえ、ほかの栄養素が不足すると吸収率は上がりません。
そのため、鉄分を多く含む食品以外にも、バランスのとれた食事を考える必要があります。
また、鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
ヘム鉄を多く含む食品はレバーや肉、魚類です。
一方、非ヘム鉄は野菜や豆類、海藻、卵などに含まれています。
ヘム鉄は非ヘム鉄より体の吸収率が高く、牛肉の鉄分の吸収率は約20%です。
それに対して非ヘム鉄の吸収率は10%以下のものが多いのですが、
動物性食品やビタミンCなどと組み合わせることで、吸収率が向上するといわれています。
葉酸は、緑黄色野菜やかんきつ類などの果物に多く含まれています。
また、ビタミンB12は肉や魚類、卵、乳製品など動物性食品に含まれています。
つまり、「貧血気味だから鉄分を補給しよう」とレバーや魚ばかりを食べるのではなく、
野菜や果物を含め、食品の種類を増やすことがポイントといえそうです。
特に女性に貧血の人が多くみられるのは、血液中の赤血球数の基準範囲は、
男性が400万~539万/μℓ、女性が360万~489万/μℓで、
ヘモグロビンは男性が13.1~16.6/㎗、女性が12.1~14.6/㎗とされています。
そして赤血球に関しては男性359万/μℓ以下、女性329万/以下、
ヘモグロビンに関しては男性11.9/㎗以下、女性10.9/㎗以下が異常とされています。
ヘモグロビンに関して異常とされる割合は、
男性が約3.4%、女性が約5.8%ですが、
基準範囲未満で要注意とされるグレーゾーンまでを含めると、
男性は約10%なのに対して女性は16%を超えており、
女性の方が貧血になる危険性が高いことがわかります。
血液の中の赤血球は、健康な人でも約120日たつと脾臓で分解されます。
赤血球の割合を正常に保つためには、毎日一定の量がつくられなければなりません。
しかし女性の場合は毎月月経で血を失うため、貧血につながりやすいと考えられます。
女性は初経から閉経までの期間のうち、約10%程度が鉄欠乏性貧血状態にあるといわれています。
また、妊娠や授乳によっても、体内の鉄分が減少しがちになります。
さらに過多月経の場合には、その割合はもっと増えてしまいます。
過多月経の主な原因は子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮体がん、
子宮頸がんなどですが、なかでも一番多くみられるのは子宮筋腫です。
子宮筋腫は良性潰瘍によるもので、一般的に20~35%程度の女性にみられるといわれています。
子宮筋腫には女性ホルモンの一つであるエストロゲンが関係しているということはわかっていますが、
発生する原因はまだ解明されていません。
ちなみに初経前の年齢にはほとんど見られず、閉経後の年齢でもあまり多くはありません。