特に肉類が大好物だった荻原さんにとって、炭水化物さえ抜けば、
あとは何を飲み食いしてもいいという謳い文句は非常に魅力的だったのでしょう。
トンカツや焼き肉、ステーキなど、がっつりした肉料理ばかり食べていたため、
コレステロールが溜まりに溜まってしまったのです。
病院に担ぎ込まれた時点で半身は完全にマヒ。
まさか気軽に始めたダイエットで半身マヒになるとは、思いもよらなかったでしょう。
今となっては話すことも不自由で、後遺症を克服するメドは立っていません」
筋力低下、骨粗鬆症、動脈硬化が引き起こす脳卒中—さまざまな病気との関係が指摘される糖質制限。
「今、このダイエットを実践している人は幅広い年代に広がっています。
今後さらに時間がたてば、間違いなく寝たきりになる人が続出すると予測されます」(都内病院・骨粗鬆症外来担当医)
見た目と健康、どっちが大事?寝たきりどころか、最悪の場合、死に至ると警鐘を鳴らすのは、
自身が糖質制限ダイエットを実践し、その結果危険な状態に陥った経験を持つ、
Rサイエンスクリニック広尾院長の日比野佐和子医師(44歳)だ。
「ご飯からお菓子まで、炭水化物は一切とらず、
その代わり好きなものを好きなだけ食べているうちに、瞬く間に15kg痩せました。
『効果が目に見えて出る。だから、嬉しくてどんどん続けてしまう』
—実はこれが糖質制限の怖いところなのですが、
当時は私も、これほど楽なダイエットはないと思っていました。
しかし、続けているうちに常に体がしんどく、眠気が抜けない状態が続くようになりました。
そして36歳のある朝、目覚めると右半身がピクリとも動かなかったのです。
救急車を呼ぼうと立ち上がろうとしても、右手と右足の感覚が一切ない。
これは大変なことになってしまったと覚悟しましたが、
幸い10分くらいで動けるようになり、自力で病院に行きました。
脳梗塞の前の段階、一過性脳虚血発作の症状でした。
今ならこのダイエットが腎臓や肝臓、血管など、
さまざまな部位に障害を引き起こす可能性があると分かっていますが、
当時は気づきませんでした。
30代半ばだった私でさえ、そのような状態になったのですから、
年齢が上がるほどリスクも上がる。
高齢者であれば死に至ることも十分あり得るでしょう」
命の危険すら指摘され始めた糖質制限ダイエット。だが、「痩せる」という効果があることは否めない。「身体にやさしい糖質制限」という都合のいいダイエット法はないのか。食物学学術博士の佐藤秀美氏が解説する。
「高齢でも、体型がどうしても気になる、という人はたくさんいると思います。そういった人は、甘い菓子などの炭水化物の間食を辞めるだけで、大きな効果が得られるはずです。