糖質不足のイライラから過食に走り、リバウンドしやすくなります。
また、長期的にみるとダイエット継続率は低いという研究結果も報告されています。
このように、極端な糖質制限ダイエットは、
結果的にカラダに支障をきたしてしまう危険性もあります。
「1日の糖質量を20g以下」などという糖質制限を自分自身の判断で行うと、
タンパク質や脂質の過剰摂取により血中脂質の上昇や腎臓への負担が懸念されます。
また、極端な糖質制限食は自己管理が難しいことや、
長期間追跡したエビデンスがまだ十分には揃っていないため、
現段階では安全か危険かの結論を出すことは難しいのです。
とにかく糖質制限の流行により、糖質の地位はかつてないほど地に落ち、
糖質制限派のメッセージは実に過激なほどに明快なのです。
『炭水化物が人類を滅ぼす』『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな』
といった本のタイトルが書店にいくとあります。
糖質制限の第1人者である江部康二氏の著書『主食をやめると健康になる』のメッセージは
「ご飯・パンの糖質が現代病の元凶だった!」です。
これら書籍に目を通すと、糖質を中心とした食事の怖さがこれでもかというほど並び、
しかもその多くが医師という権威ある人々によるものであるため、
ふつうにご飯を食べていたら病気だらけの悲しい未来しか待っていないように思えてくるのです。
またある著書には「穀物という神は、確かに1万年前の人類を飢えから救い、
腹を満たしてくれた。
その意味ではまさに神そのものだった。
抑うつ、アルツハイマー病、歯周病、アトピー性皮膚炎を含むさまざまな皮膚疾患などをもたらした。
現代人が悩む多くのものは、大量の穀物と砂糖の摂取が原因だったのだ。
人類が神だと思って招き入れたのは、じつは悪魔だったのである。
(『炭水化物が人類を滅ぼす』(夏目睦著)と糖質は悪魔のような論調なのです。
しかし、悪魔ではありません。
なぜなら厚生労働省が1947年に出した『国民栄養の現状』によりますと、
日本人の1日の栄養摂取は、全体の72%が穀類から、11%が芋類からであり、
1日のカロリー摂取の83%を糖質制限ダイエットで完璧に悪魔と化しているのですが、
その悪魔化の炭水化物に依存しているのです。
それより10年前の1936年に発刊された『栄養読本』では、
日本人の栄養摂取量の85%は炭水化物であり、さらにそのほとんどが米であることが、
日本人は1日3回白米を食べるという記載、労働者に至っては
一日5合の米を食べるという記載があります。
ここから明らかなように、米に代表される糖質は、日本人が追い求め、
そして実際に日本人を生かしてきた食べ物にもかかわらず、21世紀に入り、
その糖質を悪魔と呼ぶ人が現れたのですから困ったものです。