バブル景気終焉から失われた平成30年、世界で最も頼りになる国(日本)が、
漂流していることを最も憂いておられる李登輝の言葉は、
もう一度、日本人が心に刻み込む必要があります。
引き続き耳を傾けましょう。
日本は不況(バブル崩壊後のこと)にうちひしがれ、
依然として前途に明るい曙光を見出しえぬ今日のような窮地(2002年の時点)にあって、
自虐的価値観に覆われ、それは日本人だけではなく、
世界の人々にも大きな打撃と失望を与えずにはおかないのです。
最も頼りになる日本と日本人が混乱と混沌の中に漂流を続けていたら、
人類社会そのものが羅針盤を失いかねないのです。
日本の様々な問題は「過去を否定する」日本人の自虐的価値観」と無縁ではありません。
この傾向を放置しておけば、日本だけではなく世界全体が不幸になると心の底から器具しています。
「日本人として輝かしい歴史や伝統をもっと大切にしましょう」と呼びかけても、反発が広がるでしょう。
私がクリスチャンであるので
「仏教、儒教、神道などの倫理観にと密接に結びつく日本文化や日本精神のことが外国人であり、
クリスチャンにわかるものか」と反感を覚えられるでしょう。
しかし、私は中でも「武士道」について大覚醒を呼びかけ、
この「武士道」を世に問わなければならないのです。
新渡戸稲造先生が「武士道、日本の魂」を英語で書き上げ、アメリカで公刊したのは、
1900年(明治33)のことです。
20世紀に突入する直前であり、明治維新からの日本の「殖産興業・富国強兵」政策が
ようやく実を結び、国家としての近代化が完成し、日清戦争を経て、
「極東の島国・日本」もようやく列強の一員として国際舞台に華々しくデビューしようとしていた時です。
【解説】
李登輝は台湾のプロテスタント長老派の教会につらなるれっきとしたクリスチャンです。
野党の党首も台湾のプロテスタント長老派の教会員で同じ教会に毎週集っていましたので、
台湾ではよくニュースになっていました。
クリスチャンであった新渡戸稲造の武士道を正しく理解できたのは、
まず同じクリスチャンであったこと。
そして新渡戸稲造のように生きて、台湾のために働いたからです。
中国との厳しい対立、国際社会で台湾の存在を認めさせるために多くの働きは、
「武士道」が書かれた1900年の状況に酷似していたからです。
その中から、失われた平成30年間の日本に向けて
「武士道」を復興(リバイバル)させなければならないのだと
李登輝は今もなお訴えておられるのです。
塵灰を被って神の前に出ることから始まると確信します。