サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれます。
その活性化により寿命が延びるとされこの様なサーチュインの作用メカニズムを
マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテのグループが
1999年に見出したのです。
このサーチュイン遺伝子は飢餓やカロリー制限によって
活性化されることが解明されています。
この他にも赤ワインに多く含まれるポリフェノールの一種、
レスベラトロールによって活性化されるといわれています。
サーチュインは単細胞の酵母から線虫、
ショウジョウバエからヒトまで広く分布しており、
酵母から初めて見つかったこの遺伝子はsir2と命名されています。
ヒトを含む哺乳類では7種類が見つかっておりSIRT1~7と命名されています。
サーチュイン遺伝子は老化を防ぎ、寿命に関わっていると考えられていますが、
誰もが持っているこの遺伝子、普段は働かない状態、
つまりスイッチがオフになっています。
しかし、生物がある状態におかれるとそのスイッチがオンになります。
その状態とは、実は「飢餓状態」だったのです。
ガレンテ教授によると、食糧が不足して飢餓状態にある場合には、
子孫を残すために次に食糧が得られるときまで若さを保つことが重要になるため、
老化が抑制されるのではないかということです。
つまり、サーチュイン遺伝子を活性化させる方法は
飢餓状態と同じ状況をつくりだすこと、すなわち「カロリー制限」なのです。
今の日本では完璧な飽食の社会であり、
カロリー制限を続けるのは難しいと一般的にいわれ、少食に否定的なのです。
しかし、少食にすべての奥義があり、
長寿遺伝子が活性化を心掛けていかなければならないのです。
とにかくお腹がグーグーなるという空腹感こそ、
遺伝子にスイッチが入ることであり、
この飢餓状態に入ると人間の中にある生存アラームにスイッチが入るのです。
つまるところ人間の体は何らかの危機に直面すると、防御機能が働き、
それが最高潮に達していくようになっています。
敵に遭遇した時、自然と体は瞬時の判断を求められます。
避難か、攻撃かいずれかを瞬時に決めなければ死んでしまうわけですから、
飢餓状態で最高のレベルに到達していると全身がその判断が的確にできる
パワーが与えられるのです。
空腹状態(飢餓状態)であればあるだけすべてに敏感に反応して、対応できるのです。
そして人間の営みは飢餓状態になればなるほど俊敏に動けるようにできています。
ダビデがサウル王に追われて荒れ野を逃亡していく中で体験したのは、
この飢餓状態(つまり断食)に追い込まれてサウル王の軍隊よりもさらに力が強く、
戦いに勝利を得ていく様をサムエル記ではつぶさに描いています。
まさに旧約聖書は断食の生きた体験をこと細かに書かれています。