高齢者の認知症が急増しています。
加齢ともに増加する認知症ですが、その最大の原因が加齢であり、
認知症は誰にでも起こりうる病気なのです。
一般的に認知症という言葉を使っていますが、実は認知症は病名ではなく、
症候群の名前、風邪という症候群のようなくくりです。
認知症に「記憶障害のほかに、失語、失行、失認、実行機能の障害が1つ以上加わり、
その結果、社会生活あるいは職業上に明らかに支障をきたし、
かつての能力レべルの明らかな低下が見られる状態」と定義されています。
その認知症は、その原因となる疾患によりいくつかに分類されます。
中でも認知症の原因となる病気の半数以上を占めるのが
その他に「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」などがあります。
2018年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、
高齢者人口の15%という割合だったものが
2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計をしています。
日本を含め世界では認知症はどのような広がりを見せています。
WHO(世界保健機関)によると2015年、認知症有病者数は5,000万人、
そして毎年1,000万人近くが新たに認知症になるという報告があります。
これを365日、1日、1時間、と細かく割っていくと、
約3秒に1人が世界のどこかで新たに認知症になっている計算となります。
まだ完全に解明されていないようで、最も有力なのは、
脳内に「アミロイドβ」や「タウ」などの異常なタンパク質が蓄積し、
それが脳の神経細胞の働きを低下させるという見解がなされています。
また、次に多いのが「脳血管性認知症」ですが、
血栓によって血管が詰まったり(脳梗塞)、脳の血管が破れて出血して
その後遺症が残ったりすると(脳出血)、
その部位および周辺にある神経細胞が壊れてしまい、それが原因で、
認知症を起こす可能性があるのです。
さらに「レビー小体型認知症」というのは、
記憶障害を中心とする認知症の症状に加えて、特徴的な症状で、
その特徴には、動作が遅くなって転倒しやすくなる「パーキンソン症状」や
「幻視症状」、大声での寝言や体を動かすなどのレム睡眠行動障害などが該当します。
レビー小体病のメカニズムは、「シヌクレイン」というタンパク質が
「レビー小体」を形成し、大脳皮質の広範囲にわたって広がり、
それによって脳の神経細胞の働きが低下していくもので、
レビー小体が現れる原因については、明らかになっていません。
ただ、レビー小体の特徴である「幻視症状」が出るのは、
記憶を司る側頭葉と情報処理を司る後頭葉の障害が原因だと考えられています。