他にもいくつかの原因がありますので紹介していきます。
まず、割合は少ないものの前頭側頭型認知症は、まだ未解明の部分が多い認知症です。
現在、分かっているのは脳内の「前頭葉」と「側頭葉」の萎縮が見られ、
他の認知症では現れにくい特徴的な症状が見られることです。
脳の前頭葉は人格や意欲などに関与し、側頭葉は記憶や言語などを司る部位です。
これらが萎縮すると、社会性が欠如して万引きなどの軽犯罪を繰り返したり、
意欲がなくなったりするようになります。
発症の原因やメカニズムは現在研究が進められているところで、
重要なところはまだ不明です。
ただ、現状の医学では、脳内にある「タウ」と「TDP-43」というタンパク質が
何らかの形で関与していることがわかっています。
他の原因では、
「クロイツフェルト・ヤコブ病」や「エイズ」を原因とする症例もあります。
また、脳脊髄液が脳室の中に過剰にたまることで起こる「水頭症」も、
認知症の原因になるようです。
また、頭部打撲などで脳内の静脈が切れて出血し、
その血が脳内で固まることで発生する「慢性硬膜下血腫」なども
認知症の原因となります。
さらに最近、指摘されているのはストレス。
ある研究によると、若い頃にうつ病を発症した人は、
アルツハイマー病と血管性認知症のリスクが高まることがわかっています。
不安や嫉妬といった感情を中年期に多く持っていた人は、
老年期にアルツハイマー病になるリスクが約2倍に上るそうです。
65歳以上の高齢者1,138人を対象に行った研究では、
高血圧や糖尿病など生活習慣病に関かかわる因子と
また、生活習慣病は脳血管障害を発症しやすくし、
それによって生じる血管性認知症のリスクを高めることもわかっています。
1985年から福岡県の久山町で行われている調査によれば、
高血圧症の人は正常な血圧値の人よりも、
血管性認知症になるリスクが2.4倍から10.1倍も高かったといいます。
さらに、糖尿病はアルツハイマー病の原因となる
タンパク質「タウ」や「アミロイド」の変質を促進させていると考えられています。
糖尿病患者におけるアルツハイマー病の発症リスクは、
健常者の2.1倍になることも既存の研究によって明らかにされています。