引き続き国立がんセンター一般向けサイトの引用です。
4・感染
感染は、日本人のがんの原因の約20%を占めると推計されます。
感染の内容として、日本人では、
B型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による
子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)による胃がんなどがその大半を占めます。
他には、エプスタインバーウイルス(EBV)による悪性リンパ腫や鼻咽頭がん、
ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)による成人T細胞白血病/リンパ腫などがあります。
感染による発がんのメカニズムは、ヒトパピローマウイルスのように、
感染体が作り出すがん原性タンパク質による直接的な作用や、
慢性の炎症に伴う細胞の壊死(えし)と再生による間接的な作用などが報告されています。
5・化学物質
ある種の職業や職業的に多く暴露する化学物質は、ヒトの発がんリスクを上げることが知られています。
国際がん研究機関により、発がん性がある(group 1)と分類されたものだけでも
120種類の化学物質や職業がリストされています。
関連する臓器としては肺が最も多くなっていますが、
化学物質が直接接触する皮膚、吸入の経路である
鼻腔・喉頭・肺・胸膜、そして排泄される尿路なども多いのが特徴です。
先進国では、職場環境が改善され、発がんの可能性のある化学物質の使用の禁止や、
暴露の制限がされています。しかし、発展途上国においては、
そのような対応が十分ではないため、今後も問題となる可能性があります。
6・生殖要因とホルモン
エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンなどの性ステロイドホルモンが、
乳房、子宮体部、卵巣、前立腺におけるがんの発症に重要な役割を果たしていると考えられています。
また、ホルモン剤や抗ホルモン剤は、一部のがんのリスクを上げる一方、
他の部位のがんのリスクを下げることがわかっています。
以下に、がんのリスクを確実に上げるもしくは下げるホルモン剤のうち、主なものを記します。
がんのリスクを上げるもの
エストロゲン・プロゲストーゲン合剤の経口避妊薬(肝がん、乳がん、子宮頸がん)
エストロゲン・プロゲストーゲン合剤療法(閉経後:乳がん、子宮体がん)
抗エストロゲン薬として乳がんの治療に用いられているタモキシフェン(子宮体がん)
がんのリスクを下げるもの
タモキシフェンの予防的投与(乳がん)