5・「一括表示」
なぜなら種類が多い添加物については、すべてを表示せず「一括表示」することが許可されているからだ。
これにより、メーカー側がどんな物質を実際に使っているか、消費者には分からない仕組みになっている。
これこそが、食品表示の大きな問題なのだ。
たとえば、パンなどをふっくらさせるために使われるイーストフードは、
「イーストフード」と一括で表記されているが、実際には18種類の物質がある。
「その中には、骨粗鬆症や心筋梗塞のリスクを上げるリン酸塩も含まれている。
しかし『一括表示』の場合、それを表示する義務はありません。
これらから何種類かを選び混ぜて、小麦粉に添加しパンが作られているのです。
このように色々な添加物を同時に摂取した場合の安全性については、
全く検討されていません」(前出の小薮氏)
「ソースやカップ麺、冷凍食品などに含まれる加工でんぷんとしては、
11種類の物質が指定されています。その内9種類では、
EUの動物試験で腎臓に変化があったため、乳幼児向け食品には使用制限が設けられている。
米国でも製造基準や残留基準が規定されている。
しかし、日本ではまったく規定がされておらず、どの物質が含まれているのか分からないのが現状なんです」
いわゆる「うまみ成分」である調味料(アミノ酸等)や酸味料などは、
ほとんどの加工食品に入っているが、安全性はどうなのか。
「一括名表示が認められている調味料(アミノ酸等)、酸味料などは、
何種類の成分が使用されているのか消費者には皆目分からず、
安全性が担保されていない。
広く利用されている浅漬けやチャーハンの素、レトルト食品などには、
6・キャリーオーバー
現代人は便利さと引き換えに不必要な添加物を体内に取り込んでいるのです。
何十年後かに現れる影響を考えると、できるだけ控えたほうがいいでしょう」(前出の沢木氏)
簡単、早い、安い、便利と喧伝されている食品には、同時に危険性もあるわけだ。
そのためにも食品表示をきちんと確認することは重要だが、実はメーカー側には、
こんな「抜け道」もある。
「『キャリーオーバー』と呼ばれる制度で、添加物が製造の過程で使われていても、
最終的に残っていない、もしくは少量の場合は記載しなくてもいいのです。
ところがその判断はメーカー自身がしている。
これは非常に問題です。
いざとなれば、都合の悪い成分は隠すことができますから」(前出の渡辺氏)
現在の食において、添加物を完全に避けるのは難しい――
だが『家庭でできる食品添加物・農薬を落とす方法』の著者で、
「調理に一手間加えることで毒物を取り除くことができる」と語る。
「たとえばソーセージなら茹でる前に切れ目を入れたものと、入れなかったものを比べた場合、
切れ目を入れたほうは、ソルビン酸や亜硝酸ナトリウムが排出され、
30%も減少したという結果が出ています。
ちくわなどの練り物も水にさらしたり、湯にくぐらせることで添加物を落とすことができる。
私は『おばあちゃんの下ごしらえ』と呼んでいますが、
ゆでこぼし、油抜きなど、昔ながらの調理方法には、『除毒効果』があることが証明されています」