3・不整脈は心臓の電気系 統の故障 不整脈はなぜ起こるのでしょう?
心臓が拍動する指令を出 しているのは、
洞結節という心 臓の上部にある特殊な心筋細胞 です。
洞結節は1分間に70回前 後の頻度で電気刺激を発生します。
その刺激が次々に心房や心 室へ伝えられて心筋が収縮する わけです。
健康な心臓は規則正しく収縮 していますが、
洞結節やそれを 伝える刺激伝導系などに不具合 が生じ、
拍動のリズムに乱れが 生じることがあります。
それが 脈の乱れ=不整脈となってあら われるのです。
脈が規則的でも 異常に速い場合や遅い場合は不 整脈と呼びます。
4・心臓が一生に打つ心拍数は?
人間が一生のうちで心臓が 打つ心拍数(総心拍数)は、
ほぼ決まっているといわれて います。
では、心臓は一生に 何回くらい打つのでしょう か?
①3000万回、②3億回、 ③30億回、④300億回
正解は③の30億回。
1分 間に70回で計算すると、80 年で約30億回になります。
5・脈が多い人は寿命が 短い?
一生の総心拍数が一定という法則は、人間に限らず、哺乳類全般 に当てはまります。
小さな動物の心拍数は多く、ハツカネズミは1分間に600~700 回も脈を打ちます。
逆に大きい動物だと心拍数は少なく、ゾウは約 20回です。
ハツカネズミは1.5~2年と寿命が短く、ゾウは50~70 年と長寿です。
人間にも当てはまると仮定すると、脈が速い人は寿命が短く、
脈 の遅い人は長寿ということが予想されます。
実際に多くの調査でも脈の多い人ほど脳卒中や心臓病の発生率や
死亡率が高いことがわかっています。
高血圧や心臓病の人でも、心 拍数が多いほど死に至る危険性が高まることがわかっています。
6・心拍数は正常値でも、必ずしも安心ではない!
これまで心拍数の正常値の範囲は、成人の場合は60~100とされていました。
しかし、健診を受けた人たちで調べると心拍数は65± 10/分で、
85/分以上はまれです。
実際に健診を受けた人たちを調査すると、
心拍数の多い人はその 後に脳卒中、心筋梗塞、突然死が多いことがわかっています。
福岡 県田主丸町の調査でも、
心拍数90/分以上でその後の死亡率が高かったと報告されて います。
正常値を判断する明確な基準はないのですが、
日本 人間ドック学会の 判定基準が参考に なります。
7・危険性の高い不整脈、危険性の低い不整脈 不整脈が起こる原因はさまざまで、病気に由来するものとそうで ない生理的なものがあります。たとえば、運動、発熱、精神的緊張 などで脈拍数は多くなりますが、これらは原因がとれれば正常に戻 る心配のないものです。疲労の蓄積、飲酒、睡眠不足などが原因に なることもあります。 一方、心臓病のある人、高血圧や肺に病気がある人、貧血、甲状 腺異常がある人なども、頻脈や不整脈が出やすくなります。とくに、 心臓に病気があると、二次的に電気系統の異常が生じて、なかには 命に関わるものがあります。 たとえば、「期外 収縮」は頻脈発作につながり、「心房細動」は脳 梗塞を招き、「心室細動」は突然死を来します。不整脈がある人は、 自分の不整脈の危険度を知り、それに応じた対処をすることが大切 です。
(心拍数と心臓病・生活習慣病シリーズ17を参照)