2:肺以外の結核の出店
結核は全身のいろいろなところに病気を作るのが特徴です(肺外結核)。
おかされる臓器としてはリンパ節が最も多く、とくに多いのが首の脇が腫れるもので、
昔は「るいれき」と呼ばれていました。
また骨や関節にもできますが、背骨にできるのが「脊椎カリエス」です。
次に腎臓(腎結核)が多く見られます。
場所がらから膀胱などを巻き込むこともよくあります。
このほか結核は喉頭、腸、腹膜、また眼や耳、皮膚、生殖器にくることもあります。
いちばん怖いのは脳にくる場合です。
菌が血液の中に入って全身にばらまかれ(このような状態が「粟粒結核」です)、
脳を包んでいる膜(髄膜)にたどり着き、
化学療法のない時代には粟粒結核や髄膜炎はただちに死を意味していました。
今日では粟粒結核は早く発見すればかなり助かりますが、
髄膜炎は今でも3分の1が死亡、治っても半数近くは脳に重い後遺症を残します。
3:結核のうつり方
私たちが普通に会話をしているときにも、
肺の奥から目に見えないシブキが吐き出されます。
「ゴホン!」と1回咳をすると、ふつうの会話のときの5分間分にあたる
大量のシブキが放出されるといいます。
このシブキの中に結核菌が含まれていて、
これが近くにいる人に吸い込まれると感染を起こすのです。
このシブキの中の結核菌は、早く吸い込まれないと
日光のなかの紫外線に殺されてしまいます。
ですから、結核感染は、検査で菌が痰の中に大量に証明される人が
咳をしている場合に、そのそばにいる人(家族とか親しい友人とか)に対して
起こることが多いのです。
食器などの物を介して結核がうつることは決してありません。
4:結核の感染と発病
結核菌が肺に入って増殖を始めると、肺にはまず軽い肺炎のような変化が起きます。
同 時に肺のリンパ節が腫れるようなことも起きますが、
これらの変化は軽いので、たいてい は気づかれないのが普通です。
そのうちに人間の身体のほうに結核に対する「免疫」、
つまり抵抗力が出来あがります。
こうなると、人体のほうが結核菌よりも強くなるので、
出来かかった病巣は治り、結核菌は抑え込まれてしまいます。
結核菌が肺に侵入してから2~3カ月までにこのようなことが起こります。
しかし話はまだ続きます。
抑え込まれた結核菌はそのまま殺されたというわけではなく、
肺の中で冬眠状態に入るのです。
そして人体の側の免疫力が下がることがあれば、いつでもまた暴れ出します。
これが結核の「発病」ということになるのです。
成人の結核はこのようにして感染を受けてから1年以上、
長い場合には何十年も経ってから、菌が人の「弱み」に乗じて暴れ出した結果
起こる病気です。
時として感染直後に十分な免疫の出来にくい場合があると、
初期の病巣がそのまま進行して病気になることもあります。
赤ちゃんや子供の結核の大部分、青年がかかる結核の一部はこのようにして発生します。