5.がん患者とたばこ
がん患者がたばこを吸うことは、再発・転移とは別に、
新たに発生するがん(二次がん)の原因となることが明らかになっています。
また、喫煙量の増加に伴い二次がんのリスクが高まること、
がんの診断後に禁煙した患者は、
たばこを吸い続けた患者と比較して二次がんが発生するリスクが下がることが
報告されています。
がん患者にとって、たばこはがんの再発のリスクを高めるだけでなく、
治療効果を下げる原因にもなると考えられています。
喫煙は、肺がん患者の予後悪化との因果関係も十分であるとされています。
レベル1
評価判定:科学的根拠は、因果関係を推定するのに十分である
悪影響:再発・転移とは別に、新たに発生するがん(二次がん)、肺がん患者の予後悪化
レベル2
評価判定:科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない
悪影響:がん患者全体の予後悪化、がんの再発、治療効果低下
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より作成
6.禁煙の治療
たばこには依存性があるため、禁煙するためには支援が必要であると考えられています。
毎年喫煙者の約3分の1が禁煙を試みているものの、
そのほとんどが自力での禁煙を試みていることもあって、
1年以上の長期間の禁煙に成功できる人はわずか1~3%であるという報告もあります。
たばこ依存症の人が確実に禁煙するためには、
行動療法および薬物療法による治療が効果的です。
禁煙治療(5回の診察すべて)を受けた人では、治療終了時で約75%、
治療終了9カ月後でも約50%の人が禁煙に成功しています。
わが国では禁煙治療は保険適用となっています。
健康保険を利用した場合、禁煙治療は12週間を基本とし、
その間に5回の診察を受けます。
自己負担3割の場合、5回の診療の費用は1万3,000円~2万円程度で、
治療期間中たばこを1日1箱ずつ吸い続ける金額よりも安くなります。
2016年度には、未成年者や若年の喫煙者へも保険の適用が拡大されました。
これまでは、おおむね喫煙年数が10年を経過していなければ
保険適応にならない仕組みとなっていましたが、
35歳未満の人についてはこの条件が撤廃され、
未成年者や若年の喫煙者でも保険を使って禁煙治療を受けることが可能になりました。
7.禁煙の効果
今すぐ禁煙するか、あるいはその努力をすることで、
長期的な健康被害の可能性を大幅に低減できます。
禁煙してから10年後には、肺がんのリスクが喫煙者に比べて約半分に低下し、
口腔がん、食道がん(扁平上皮がん)、胃がん、喉頭がん、膀胱がん、子宮頸がん(扁平上皮がん)
のリスクも低下することが報告されています。
喫煙者は、生涯たばこを吸わない人より10年程度余命が短くなるという報告もあります。
ただし、35歳より前に禁煙すれば、
たばこによる死亡リスクの増加を回避できることも報告されています。
上昇することも示唆されています。
禁煙によって、健康に長生きできる可能性が高まるのです。
がん以外の循環器や呼吸器の病気は、
禁煙してから1年程度で大幅にリスクが低下することが示されています。
【解説】
とにかくいかなる方法でも喫煙習慣を早く止めて、
健康な身体、綺麗な身体にしていきましょう。