民族移動や土着文化など歴史的背景ですが、その一例は、ニューカレドニアです。
ここは「天国にいちばん近い島」といわれていますが、
ことお酒については厳格なのです。
お酒はそう簡単に手に入らないし、アルコールの販売時間がひどく限られています。
ビールなどのアルコール類を全日入手できる日は、
月曜、火曜、木曜のみ。水曜および金曜から日曜への週末は
正午から21時まで販売禁止と少々複雑な規制がしかれているのです。
また、ビールを冷やして販売するのもNG。
購入後即座にビールを呑む……という行為を防ぐためです。
ここに新婚旅行に行った方によれば、 アルコールの耐性に弱い地元の方々と、
フランス文化の相容れない価値観から生まれた規制だとされています。
キリスト教国では、アルコールを禁じてはいないが、
「酔っぱらってはいけない」という暗黙のルールがあります。
フランスなどは、呑んでもキリっとしていなければならないし、
あまりクダをまいたりするようだと、人々から疎まれます。
いわば「アル中」にくくられてしまうのです。
太古の昔、人類が世界中へと広がる際、
ヨーロッパ方面からアルタイ山脈を越え人類が移住するあたりで、
アルコール分解酵素を司る遺伝子異常、
いわばミューテイションが起こったという説があります。
この結果、アルタイ山脈よりも東に土着した民族は
アルコール耐性が弱いという説です。
一方、アルタイ山脈よりも西に残った民族は、アルコール分解酵素が強いとも。
これはあたっているのかどうか分かりませんが、
ニューカレドニアのように前者(土着民族)と
後者(大航海時代以降の欧州からの移住者)が同居する土地では、
こうした規制が設定される土壌が生まれたようですが、
アルコールをめぐっては アメリカ本土の民族文化などを知る方は、
「ネイティブ・アメリカン=アル中」というレッテルがいまだにあるのは事実です。
彼らもまた日本人と同様、アルタイ山脈を越え、東に移動した土着の民族です。
そにかくいつなんどきでもアルコールを入手できる日本はお酒天国です。
しかし、一歩、海外に出れば、
宗教的な違いや厳しい規制を考慮しなければなりません。
そしてWHOでは「たばこ規制枠組み条約」が採択された2003年ごろから、
WHOではアルコールをめぐる議論が高まり始めました。
2004年にまとめられた報告では、本人の健康だけでなく、
交通事故や暴力、自殺などにも注目。
「世界で250万人がアルコールに関連した原因で死亡
(32万人の15~29歳の若者を含む)」
「アルコールの有害な使用は、すべての死の3.8%を占める」とされました。
2005年には、有効な戦略とプログラムを、開発・実施・評価するよう加盟国に要請。
以来、加盟国間で話し合いが重ねられ、スウェーデンが他の42カ国とともに、
たばこのような国際基準を求める共同提案を提出したのです。