国が国民を守るために適切な行動をとれば、
「アルコールの有害な使用」は低減できます。
加盟国は、公共政策を策定・実施・監視・評価する主要な責任を担っています。
国家戦略や適切な法的枠組みを持つことは、国にとって利益となります。
政策は医療保健セクターだけでは対応できず、
開発・運輸・司法・社会福祉・財政政策・通商・農業・消費者政策・教育・雇用などの
セクターや、市民社会、アルコール関連事業者との適切な関わりが絶対に必要です。
政府は、アルコール政策に首尾一貫したアプローチをとり、調整を図るため、
多くの省庁や協力組織の経験豊富な代表者からなる国レベルの
「アルコール対策会議」を設置する必要があります。
加盟国がとりうる「政策オプション」と「介入施策」は、10分野に分類されてています。
加盟国は、状況に合わせて「政策オプション」と「介入施策」を適切に採用・実行し、
国のモニタリング・システムに反映させ、WHO に対して定期的に報告する義務があります。
WHO事務局は、世界戦略の進捗状況をモニターし、
2013年の第66回世界保健総会で報告するようになります。
WHO世界戦略 10分野の政策オプションと介入施策の概要
分野1 リーダーシップ、自覚とコミットメント
国や自治体の包括的な戦略/財源確保/所轄部署の決定/関連省庁の連携/定期報告
分野2 保健医療サービスの対応
家族への支援と治療・自助活動への支援/予防・治療・ケアシステムの強化/
ブリーフインタベンションの推進/胎児性アルコール・スペクトラム障害の
予防・発見・介入・ケア/うつ・自殺・HIV/AIDS・結核などとの
重複障害の予防・治療・ケア戦略・効果的な連携
分野3 地域社会の活動
対策を優先すべき集団(未成年者・若者など)の特定、対策/環境づくり/NGOとのパートナーシップ
分野4 飲酒運転に関する方針と対策
呼気濃度の最低基準値の設定/飲酒検問/違反者の免許停止・取消/インターロックの利用/違反者への強制教育・カウンセリング・治療プログラム/代替交通手段の奨励/効果的なキャンペーン
分野5 アルコールの入手性
小売販売免許/店舗数や場所の制限/営業日と営業時間の制限/飲酒可能法定年齢の引き上げ/未成年の入手を防止する対策/公共の活動や行事での飲酒ルール
分野6 アルコール飲料のマーケティング(広告などの販売促進活動)
内容・量・媒体の規制/スポンサーシップ活動の規制/ソーシャルメディアなど新手法の規制/監視システム
分野7 価格政策
効果的な課税システム/標準価格の定期調査/値引き販売・飲み放題の規制/最低価格の設定
分野8 飲酒や酩酊による悪影響の低減
酩酊者へのアルコールの提供を規制し、酩酊の結果生じた損害に対して提供者に法的責任を課す/酩酊者への対応に関する従業員教育/酩酊者の保護/消費者教育、警告ラベル
分野9 違法または非正規に製造されたアルコールが公衆衛生に与える影響の低減
分野10 観察と監視
アルコール消費と被害について定期的な全国調査を実施/報告書の刊行/収集データの評価