アルコール摂取により体内での尿酸量が増大し、時に痛風発作となって現れます。
高尿酸血症はメタボリックシンドロームとも関連が深く、
アルコールの飲み方を再考すべき機会となります。
- 痛風とは
痛飲した次の日、足の付け根の関節が痛くなったりすることがあるでしょうか。
またはかかりつけの先生から
「尿酸値が高いからアルコールは控えなさい」と言われたことはないでしょうか。
特に関節内に尿酸塩結晶が沈着し炎症を起こした場合に生じます。
- 尿酸産生のメカニズムは
漠然と「うまい酒の肴に入っているプリン体を食べると尿酸が増える」と
考えていらっしゃる方が多いかもしれませんが、
あながち間違いではありません。
モツ・干物・白子・うに・レバーなどの細胞の詰まった食品には、
尿酸の材料であるプリン体が多く含まれます。
こういった食物を摂取すると体内で代謝された最終産物として尿酸が産生され、
尿中に排泄されます。食物由来のプリン体(外因性)から産生される尿酸は
総尿酸生産量の1/3程度といわれています。
残りの2/3の尿酸は体内でプリン体(内因性)が作られた代謝産物として産生されます。
プリン体はあらゆる生物が生命活動をするのに大切な物質で核酸(DNA・RNA)や
エネルギー源(ATP・GTP)の構成成分です。
したがって体内の細胞が活動し新陳代謝をしている限り、
プリン体が生成されて尿酸は産生されます。
プリン体の活動の場は細胞の中であり、
だからこそ細胞の詰まった食品にはプリン体が多く含まれるのです。
- アルコール飲酒による高尿酸血症の機序
アルコールを飲むと体内の尿酸値が上がります。まずアルコールは体内での尿酸産生を増加させます。また尿中への尿酸の排泄を阻害し尿酸を体内にとどめます。さらにアルコールの利尿作用により尿酸は濃縮されます。
ここに食物由来のプリン体が上乗せされます。
ビールだと大瓶1本で50mg程度、白子やレバーには
100g当り300mgものプリン体が含まれます。
ちなみに日本人の1日の平均プリン体摂取は150mg程度といわれています。
尿酸が高い方がアルコールを飲んで痛風発作を起こすのは、
つまみや酒の種類だけの問題でなく、アルコール摂取に伴う当然の帰結だと言えます。
痛風の症状に目を奪われがちですが、高尿酸血症は無症状であっても
メタボリックシンドロームとも関連が深い将来の動脈硬化に関わる大事な因子です。
内臓脂肪と尿酸値とは相関しますし、
高尿酸血症自体も独立した心血管・脳血管疾患のリスク因子となります。
アルコール摂取もまた中性脂肪を増やし、メタボリックシンドロームを進めます。
近年の健康志向で低カロリー・ノンカロリーや
プリン体ゼロのビールが発売されています。
しかしアルコールそのものにもカロリーは含まれており、
上述のように尿酸を上昇させる作用があるのです。
内臓脂肪が気になっている方、
実際に高尿酸血症・糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を抱えている方は、
まずアルコールの量・回数を減らしましょう。
そして、バランスの取れた食事と適度な運動をしているか生活を見直しましょう。
痛風は体内からの危険のサインです。
アルコール摂取が将来の疾患を進めないよう、
節度のある適度な飲酒を心がける必要があります。
厚生労働省e-ヘルスネットから引用