さてこれから「肥満と飢餓」(ラジ・パテル著)をたたき台にして筆を進めていきます。
それは世界のフードビジネスの犠牲になっている対照的な二つの世界について、
かくまで明確に指摘している本はないからです。
これまで断食指導を30年近くもさせていただき、
自らも40日断食を何度も体験して、
断食も目的について多くの考察をこのブログにも3年にわたり毎日、書いてきました。
特に昨年12月には「断食救人類の書」を発行しました。
この続編で肥満と飢餓をテーマにしたものを書いていこうと考えていた時に、
この本に出合いました。それはラジ・パテルが指摘していることと同じテーマだったのです。
この本は400頁に及びますので要旨を紹介しつつ解説していきます。
かなり長い連載になります。
さて、日本語への序文でラジ・パテルは、
世界では飢餓人口は激増しているがその数は10憶人、
そして肥満も激増して10憶人を超え、
両方とも健康的で栄養価の高い食生活でないというのが共通点であり、
いずれもフードビジネスにマインドコントロールされていると指摘しています。
それは世界に食料を供給する産業があるからで
それを「世界フードシステム」とラジ・パテルは命名しています。
このシステムに大変革をもたらした世界食糧危機が
2008年に下記にような形で起こります。
1・原油価格に高騰
今や工業化した農業は、安い原油を前提にしたものです。
米国では国民1人あたりの食料供給に対して、
2000リットルの石油が必要だといいます。どこに使用されているかといいますと
・化学肥料
・農地に必要な水の灌漑施設のポンプに燃料代
・食糧輸送費のガソリン代
・農業機械を動かすガソリン代
などで石油価格が値上がりすれば、食料価格は値上がりし、
その上昇はまさに飢餓人口は激増になっていきます。
2・世界全体で食肉が急増してきている
つまり発展途上国の裕福層が肉を消費することで
最貧国の国の人たちの食料を搾取することになる構造です。
3・気候変動
オーストラリアの干ばつ、アジア地域の台風、米国の干ばつ、
そしてこれらは温暖化が原因です。
4・米国の進めているアグロ燃料(バイオ燃料)が食料価格の値上げとなっています。
このアグロ燃料はエタノールで、
糖質原料としてはサトウキビ、テンサイ、廃糖蜜(モラセスが重要な原料のひとつです。
このエタノールは地球温暖化を防止するというのが大義名分ですが、
実は農作物を燃やしていたのです。
そしてこれを使用することで温室効果ガスが増加しているという
皮肉な結果となっています。
5・非合法市場活動の横行
それは商品投機です。商品先物取引市場