動脈硬化とは、わかりやすくいえば血管の老化です。
肌にシワやシミができたり、たるんだりするのと同じように、
血管も年齢とともに傷つき、弱り、しなやかさも低下します。
ただ肌の老化などと違うのは、生命にかかわる老化だということです。
外からはわかりにくいため、ほとんどの人が血管の老化には気がつかず放置しています。
その結果、血液の通り道が狭くなったり、血栓ができてつまったりし、ある日突然、
動脈硬化というと、すぐにコレステロールのことを想起する人が多いのではないでしょうか。
血液中のコレステロールが多い脂質異常症は、たしかに動脈硬化の大きな要因です。
でも最近の研究から、コレステロールの中でも、
とくに超悪玉といわれる小型LDLコレステロールが多いと、
動脈硬化を起こしやすいことがわかってきています。
その反対に、善玉(HDL)コレステロールが多いと、
動脈硬化のリスクは低くなります。
つまりコレステロールはそのタイプによって、動脈硬化への影響が異なるのです。
もうひとつ知っておきたいのは、コレステロール値がそれほど高くない人でも、
動脈硬化を起こすことが少なくないことです。
実は動脈硬化には、肥満(とくに内臓脂肪型肥満)、高血圧、高血糖、脂質代謝異常
(中性脂肪やLDLコレステロールが多い、HDLコレステロールが少ない状態)など、
さまざまな危険因子が関係しています。
これらが複合的に重なって動脈硬化を起こしています。
コレステロールだけが問題ではないのです。
動脈硬化は、こうした多くの要因によって促進されやすいこ、
それも怖さのひとつです。
動脈硬化は、一般に次のようにして起こります。
1・血液中に、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が増えると、
いわゆるドロドロの状態になり、血管の内壁に付着しやすくなります。
LDLコレステロールが血管の傷などから中に入り込むと、活性酸素の影響などで、
酸化LDLになります。
超悪玉(小型LDL)コレステロールが問題となるのは、
小さいだけに血管内壁に入りやすく、また酸化されやすいためです。
2・」酸化LDLが増えると、
これを異物とみなして免疫細胞のひとつであるマクロファージが集まってきます。
マクロファージは酸化LDLを次々にとり込んで泡沫細胞となり、
血管の内壁にプラークというおできのようなものをつくります。
その結果、血管内壁は厚くなり、血液の通り道が狭くなり始めます。
本格的な動脈硬化の始まりです。
3・プラークがなんらかの原因で破裂すると、
それを修復するために血小板が集まり、かさぶたのようなものをつくり、
さらに血液の通り道をふさぐようになります。
これをくり返すうち、かさぶたが重なって血栓をつくり、
ダムのように血液の流れを止めてしまうことになります。
4・血液の流れが止まると、心臓や脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなり、