野菜を意識して摂っている人は多いが、
果物についてはとくに気にしていないという人も多いのではないでしょうか?
果物は「太りそう」なイメージもあるため、敬遠している人もいるかもしれません。
だが、果物には野菜とはまた別の健康効果を期待できることが、
最近の研究で分かってきたのです。
果物には大切な栄養素が豊富に含まれています。
日本人が食べる果物の量は足りていません。
厚生労働省・農林水産省が作成した「食事バランスガイド」では、
1日に野菜を350g、果物を200g摂取することが目標とされています。
しかし、日本人は実際にはこれより少ない量しか食べていません。
「健康日本21(第2次)」では、果物の摂取量が1日100g未満の人を30%に減らすことを
目標としていますが、現状は日本人の60%以上で果物が不足しており、
とくに20〜40歳代で摂取量が少ないことが分かっています。
野菜と果物はがんの発症リスクを低下させることが、
日本人を対象とした大規模調査でも明らかになっています。
国立がん研究センターなどが実施している約20万人の日本人を対象とした調査で、
野菜と果物を多く食べている人では、
胃がんや肺がん、乳がんなどの発症リスクが低下することが分かったのです。
米国では、心臓病・脳卒中・がんの予防の観点から、
野菜と果物を食事に取り入れることを啓発する運動
「ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)」を、農産物健康推進財団(PBH)などが展開しています。
野菜や果物を十分に食べることは、認知機能の低下を防ぐためにも良いようです。
米国のハーバード大学公衆衛生大学院の研究では、
野菜や果物を多く摂取している人は、認知機能の低下が少ないことが分かったのです。
毎日の食事で葉物野菜や、
黄色や赤色の野菜、ベリー類、オレンジなどの果物を十分に食べている男性は、
まったく食べない男性に比べ、齢をとってからの認知機能の低下が34%少ないことが、
約2万8,000人の医療従事者を20年間にわたり追跡した研究で明らかになったのです。
果物や緑黄色野菜には
ビタミンA(βカロテン)やビタミンC、カリウムなどの
ミネラル、ポリフェノールが多く含まれます。
これらには抗酸化作用があり、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。
果物に含まれる抗酸化物質は、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑えます。
活性酸素が大量に生成されると、
動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こされますが、
抗酸化物質には活性酸素の発生やその働きを抑制したり、取り除く作用があります。
果物に含まれる抗酸化物質として、カロテノイドやポリフェノールなどがあります。
果物や緑黄色野菜に含まれるβカロテンや
リコピン、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、大豆に含まれる
ミカンやリンゴには脂質代謝を改善する成分が含まれ、
たとえば、温州ミカンに含まれる「βクリプトキサンチン」には
強力な抗酸化作用があります。
ヘスペリジン研究会によると、温州ミカンなど柑橘類の果実の皮や袋に含まれる
「へスペリジン」という成分には、中性脂肪を低下させたり、
血液循環を改善するなどの作用があります。