「一価不飽和脂肪酸」
・ オメガ9系脂肪酸とも呼ばれる
・ 比較的エネルギーとして使われにくく、常温で液体の脂肪酸
・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ持つ構造)
・ オリーブオイル、菜種油、アボカド、タラ肝油、イワシ油などに多く含まれる
「多価不飽和脂肪酸」
・ オメガ3系、オメガ6系脂肪酸に分類される
・ 体内で合成できない必須脂肪酸を含む
・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ以上持つ構造)
・ 魚油(青魚)、植物油(トウモロコシ油・大豆油・サラダ油等)、
クルミ、えごまなどに多く含まれる
・ リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコペンタエン酸(EPA)など
「トランス脂肪酸」
・ 植物油を高温にする過程などで生成される脂肪酸
・ 健康に対するマイナス面が報告されている
・ マーガリン、ショートニング、加工油脂などに含まれる可能性がある
◎ 脂肪酸と健康
上記の3種の脂肪酸の特徴から、私たちが「脂質」を「健康に悪い」と感じるのは、
食生活で「飽和脂肪酸」を取りすぎてしまうという事による健康上の弊害が、
「脂質」という言葉の印象悪化に直結していると推測します。
近年では特に海外で「トランス脂肪酸」が大きな問題となっておりこちらも
「脂質」の不健康イメージを増長している可能性は考えられます。
逆に、脂質の一種にもかかわらずDHA、EPEは
健康に良いイメージを持っている方が多いと思います。
実際に必須脂肪酸と言われるこれらの物質は
体内で合成できないためきちんと食事からとる必要があり、
適量の摂取が健康上プラスになるという研究報告が多く出ています。
まとめると「脂質」のうち「飽和脂肪酸」は過剰摂取の傾向があるので、
意識して適量を心がける。「一価不飽和脂肪酸」や
体内で合成できないので意識して食事からとるようにする。
「トランス脂肪酸」は極力取らないことが、
健康上はプラスになるという事になります。
◎ 脂肪酸と味
肉の脂身(白い部分)は基本的には「脂質の塊」ですが、
口の温度で溶けて豊かな風味を感じる脂身もあれば、
固体のまま溶けず味も淡白であったり、
胃がもたれるようなギトギトした油っぽさを感じる脂身もあります。
この差は何でしょうか?
これも脂肪酸の組成の違いによります。
様々な種類の「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の組み合わせにより、
一定温度での溶けやすさ、味、風味(香り)が形成されるため、
同じように見える脂身であっても違いが出てくるのです。
人の味覚は個人差があり複雑なので一概には言えませんが、
良い脂質、悪い脂質を判断する基準として、
健康だけでなく食材のやわらかさ、味、風味という側面からの議論もできそうです。
◎ まとめ
1.「脂質(脂肪酸)」は人体に必要な栄養成分
2.脂肪酸には4種類がある(「飽和」「一価不飽和」「多価不飽和」「トランス」)
3. 健康にプラスになるのは適量の「不飽和脂肪酸」
4.健康にマイナスになるのは過剰の「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」
5.脂肪酸は健康だけでなく味や風味にも関係する