アンチエイジング(anti-aging)とは「抗加齢」を意味する言葉です。
実際の年齢に逆らうことは出来ませんので、その意味としては「抗老化」となります。
いつまでも若々しい心と体を維持したい、実際の年齢よりも若く見せたい(見られたい)、
出来るだけ長生きしたい、という欲望は、老若男女すべてに共通しているといえます。
ここ数年、高齢者がいつまでも元気で健康に年を重ねていくことに対する
「サクセスフル・エイジング(successful aging)」という言葉が
多く使われるようになっています。
「アンチ・エイジング」をサクセスフル・エイジングと対比させるならば、
むしろ若年層~中年層までに使われることが多い言葉かもしれません。
アンチエイジング医学とは、疾病の医学が対象としている「病気の治療」から、
「健康な人のさらなる健康」を指導するというプラスの医療の考え方を持ち、
いわば究極の予防医学ともいえるでしょう。
元気に長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学を定義としています。
例えば、過去に行われた研究ですが、
100歳以上の超高齢者の機能的・形態学的な研究によって、
バランスのよい生理的な臓器の老化は、
多くの人に見られる病的な老化と比べて進行が穏やかであることが分かってきました。
アンチエイジング医学は生活習慣を改善して健康長寿を目指していく医学であり、
アンバランスな病的老化の予防、治療を基本としています。
また、老化のメカニズム解明や抗加齢医学に基づく
医療の実践、各科に渡る全身的医療も
アンチエイジング医学の定義としても良いものと考えます。
アンチエイジング医学は、なぜこのような発展を遂げてきたのでしょうか。
日本や世界でアンチエイジング医学が注目された背景には、
エイジングのサイエンスが進んだことがあります。
さまざまな研究により、加齢は避けられないものではなく、
細胞生物学的なプロセスのひとつとして、
医学的な介入による影響を受けることが分かってきたのです。
1980年代までは、加齢のプロセスはとても複雑で、
医学的な介入は不可能であると考えられていましたが、多くの研究成果により、
その可能性が見出されたのです。
また、少子高齢化社会において、高齢者が現役を継続することは、
納税者層として活躍していくことにもつながります。
今後の日本の社会状況を鑑みると、こういった視点からも
アンチエイジング医学が発展していく要因となります。
アンチエイジング医学とは加齢という生物学的、細胞学的なプロセスに介入し、
加齢に伴う動脈硬化や、がんのような加齢関連疾患の発症確率を下げ、
健康長寿をめざす医学なのです。