重篤化する新型肺炎は新型ウイルスによる感染で引き起こされますが、
このような感染症が人類の危機となるほんとうの原因は
別のところにあると石原医師は指摘されていますが、その通りなのです。
古代ギリシア、ローマ大帝国は栄華に達したあとから衰亡していく
大きな要因のひとつに疫病がありました。
まずギリシアですが、アテネとスパルタとの開戦でアテネの人口が流入し、
人口過剰となります。
そしてチフス、麻疹、凍瘡などが流行し、人口の1/4が死に絶えていき、
これがギリシア滅亡の引き金になったのです。
ローマ帝国も凍瘡とペストに見舞われ、
紀元165年、第一波、189年に第二波が襲い、毎日、2000人の死者が出たのです。
その後も205年の第三波では1日5000人から1万人の死者が出ています。
この二つの文明で共通点は、暴飲暴食です。
支配階級の貴族を中心に贅沢三昧の食生活に溺れ、体は動かさず、
公衆浴場と劇場に夢中になっていきます。
「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べている」と
哲学者セネカ(紀元前1年頃 - 65年 4月は、ユリウス・クラウディウス朝時代・紀元前27年 - 紀元後68年のローマ帝国の政治家、哲学者、詩人)
が嘆いています。
宴会に次ぐ宴会で満腹になると鳥の羽で喉をくすぐって吐き、
また次の宴会にという宴会のはしごです。
これは上流階級の保養地、
ポンペイ(ナポリ近郊にあった古代都市で紀元79年のある昼過ぎヴェスヴィオ火山噴火による火砕流によって地中に埋もれた。)
にその痕跡が残っています。
ポンペイの発掘で出されていた料理は今日の豪華な食事よりも
メニューが豊富だったのです。
『トリマルキオの饗宴』(講談社学術文庫)という本では、
古代ローマが生んだ風刺小説の金字塔
『サテュリコン』の最も有名な場面が描かれていますが、
そこに描かれた山海の珍味と美酒、かしずく少年奴隷たち、黄金の腕輪と銀の尿瓶……
解放奴隷の成金富豪が催す饗宴の一部始終が書かれています。
厖大な文献、考古・美術資料を駆使して、繁栄を謳歌するネロ帝時代の社会と、
人々の人生観を再構築していますが、
毎日、贅沢三昧の饗宴が開かれていたのです。
今日の世界でもローマ帝国の末路を歩んでいるのです。
そして日本はその末路へのマラソンレースの先頭を走っている国なのです。
そのランナーはシニア層なのです。
この滅亡していくローマ帝国を引き継いだのが
キリスト教会だったことをご存じですか。
約300年に及ぶ執拗なローマ帝国の迫害、殉教を乗り越えて、
帝国滅亡後、みごとに継承しましたが、
その最大要因は、キリスト教が荒れ野で育ち、
断食を基盤としていたからにほかなりません。
そのルーツはイスラエルの長い歴史にあったのです。
つまりイスラエルから派生したユダヤ教団もそこから独立したキリスト教も
砂漠の宗教であり、砂漠の中で断食を中核とした宗教でしたから、
ローマ帝国の飽食に巻き込まれなかったのです。
ゆえに帝国の遺産を戦争なくして継承したのです。
決して病に倒れず新しい時代を形成していったのです。
それは免疫力が高く、ローマを襲った様々な疫病からも守られたのです。