私たちの玄米菜食はビーガンとはかなり異なりますが、
一応、どのような考え方なのかを簡単に紹介します。
菜食主義は古代インドや古代ギリシアまでさかのぼることができますが、
肉食を避ける人々の呼び方として「ベジタリアン」(vegetarian、菜食主義者)と
いう英語が使われるようになったのは、19世紀に入ってからです。
『オックスフォード英語辞典』では、この単語の初期の使用例として、
1839年にイングランドの女優ファニー・ケンブルが米国のジョージアで
使用した例を挙げています。
この時期のベジタリアンという言葉では、肉だけでなく卵と乳製品も避け、
いかなる目的でも動物の利用を避ける人々を指す言葉として使われ、
より厳格な完全な菜食主義者も指していたようです。
1886年、イングランドの運動家ヘンリー・ソルト(英語版)が執筆した
A Plea for Vegetarianism (菜食主義の請願)が出版され、
道徳上、菜食主義は必須だと説き、動物福祉から
動物の権利へパラダイム・シフトを提案しました。
この著作はマハトマ・ガンジーにも影響を与えます。
1931年にロンドンでベジタリアン協会の会議が開催されます。
そしてアメリカでは、ヒッピームーブメントの流れを受け、
既存の食事、環境、農産物生産者への懸念を表明する
菜食主義者たちの運動が出てきました。
そして有機食品への関心が高まっていきました。
最も影響力があった著作は、1971年に出版された
フランシス・ムア・ラッペの「小さな惑星の緑の食卓」で、
「食物連鎖の頂点から降りること」を提案したこの本は300万部以上を売る
成功を収めたのです。
現在、完全菜食を実践するセレブ、スポーツ選手、俳優、ミュージシャン、
政治家ら著名人が増え、完全菜食主義を貫く者もいれば、
時々行う程度に済ませる者もいて多彩な展開となっています。
アメリカでは、ビーガンの比率は2009年には1%でしたが、
2013年には2.5%、2017年には6%と10年弱で6倍になっています。
2018年にはマクドナルドがビーガン対応のバーガーを
アメリカ本国でも発売することを決定ビーガンの人々に配慮する企業が増えています。
日本ベジタリアン協会はビーガンを
「動物に苦しみを与えることへの嫌悪から動物性のものを利用しない人」と
定義していますが、実際には日本ではビーガンを「健康食」として認識しています。
ビーガン向けの料理には、
チリスープ、ラタトゥイユ、ファラフェル、フムス、
ヴェジー・ブリトー、ライス・アンド・ビーンズ、野菜炒め、パスタ料理。
また、大豆は完全タンパク質を含んでいるため、
豆乳や豆腐、テンペ、代替肉といった形で使用されます。
にがりを加えて作られる豆腐は水分含有量によって硬さが異なり、
それぞれに適した調理方法があり、
豆腐を柔らかくしたり滑らかにしたものをサラダドレッシングや
スイーツ、シェイクの材料にすることができ、
植物性タンパク質はしばしばパスタのソースに用いられています。
また、麩(小麦のグルテン)も蛋白源としてしばしば利用されています。
グルテンミートといった代替肉は、小麦や大豆のグルテンを原料としり、
ベジタリアン・ソーセージやベジタリアン・ミンス、ヴェジーバーガーといった、
ベジタリアン向けの食品に加工されています。
医療関係者でつくるNPO団体責任ある医療のための医師の会(PCRM) は、
1991年より果物・豆類(豆、えんどう豆、レンズマメ、ラッカセイなど)、
穀物、野菜からなる新四大食品群を取り入れたコレステロールを含まない、
低脂肪の完全菜食の推奨を続けてきています。
大豆は牛肉の20倍の人口を養えるとも言われています。
つまり1kgの肉には20Kgの大豆を使うということになるわけで、
肉食者は食糧のハイジャッカーとも指摘されています。