なぜ「コロナ」ウイルスと呼ばれるようになったのかを説明します。
ウイルスのサイズはとても小さく、
肉眼や一般的な顕微鏡では見ることができませんので
ウイルスを見るためには電子顕微鏡という特殊な機器を使います。
コロナウイルスは、表面に約20nmの特徴的な突起があり、
その見た目が王冠(crown)によく似ていることから、
ギリシャ語で王冠を意味する「corona(コロナ)」という名前が付けられたそうです。
さて、日経バイオテクが、新型コロナウイルスについて適切な解説をしています。
・・・コロナウイルスは、一本鎖プラス鎖のRNA ウイルスであり、
ゲノム(RNA)配列は約30kb。
家畜を含め、様々な動物に感染することが知られており、
ヒトでは呼吸器感染症を起こす、いわゆる一般的な風邪の原因の1 つとして知られている。
また、それとは別に、2002 年から03 年にかけて中国を中心に感染が広がった
重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2012 年以降に発生している
中東呼吸器症候群(MERS)の原因もコロナウイルスだ。
今回の新型コロナウイルスは、そうしたコロナウイルスに続いて同定された。
現在のところ、新型コロナウイルスは、
ウイルス表面に発現しているスパイク(S)蛋白質が、
ヒト細胞上のアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体に結合することで、
ヒトの細胞質内へ侵入、感染すると考えられている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が増えるに従って、
その臨床像も明らかになりつつある。
これまで発表された複数の論文や症例報告をまとめると、現在のところ、
主に感染者のせきやくしゃみなどによる飛沫を中心に感染すると考えられている。
潜伏期間は今のところ2 日から12 日程度で、
症状の無い感染者(無症候性キャリア)であっても感染を広げる可能性が示唆されている。
発症した感染者の主な症状は、発熱やせき、のどの痛み、倦怠感、呼吸苦などで、
約80%が軽症で済む。
ただ、重症化のリスクや致死率は、季節性インフルエンザよりも高いとされ、
特に高齢者や基礎疾患があると重症化しやすいと考えられている。
中国や日本からの報告によれば、初期の症状が軽症であっても、
その後、急速に悪化する重症例が少なくないようだ。
現時点で、COVID-19 への有効性が認められた治療薬は無く、
重症例には対症療法が施されている。また、感染を予防したり、
重症化を防いだりするワクチンも無い。
施設を選ばずどの医療機関でも実施できるような検査技術も国内には無い。
そのため世界では(1)COVID-19の患者を治療するための治療薬の開発、
(2)新型コロナウイルスへの感染を抑えたり、重症化を防いだりするためのワクチンの開発、
(3)より多くの患者を迅速に診断するための検査技術の開発――
が急ピッチで進められている状況だ。・・・・