イントは、鼻詰まりの症状ではなくても、
においや味覚が薄れたりまったく感じられなくなったりすることだ。
嗅覚・味覚異常の患者は男性よりも女性にやや多く、
COVID-19の症状自体も比較的軽症で済むことがわかっている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の調査によると、
嗅覚や味覚の喪失の多くは軽度ではなく、
まったく感じられなくなる深刻なものだとしている。
しかし回復率は高く、感染後2~4週間以内に嗅覚と味覚が
回復することが報告されている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では
新型コロナウイルスの陽性と診断された人たちは、
陰性と診断された人々よりも嗅覚・味覚異常を報告する可能性が
10倍以上だと発表している。
このことから、嗅覚・味覚異常は新型コロナウイルスの陽性診断において
信頼性の高い予測因子であることが示唆されている。
においを脳に伝える嗅細胞には、ACE2とTMPRSS2遺伝子は発現していない。
このため嗅覚・味覚異常のメカニズムは、これまでは不明だった。
しかし、新たな報告では、嗅細胞の周りにある嗅覚上皮の支持細胞や幹細胞は、
鼻呼吸器上皮の細胞と同様に、これらの遺伝子の両方を発現していることがわかった。
この知見は新型コロナウイルスへの感染が嗅覚・味覚異常を引き起こす
メカニズムを示すものである。
・腎臓:腎障害(重症)
腎臓はACE2とTMPRSS2の発現量が多い。
呼吸器系以外で新型コロナウイルスが腎臓などの臓器に直接感染するかどうかは、
いまのところ不明である。
しかし、武漢の病院で1月17日から3月3日までに入院していたCOVID-19の患者85名のうち、
23名(27.6パーセント)の患者が急性腎不全を起こしていたことが報告されている。
また、そのうち6名の死後の腎臓組織を調べたところ、
重度の急性尿細管壊死と感染を示すリンパ球浸潤が認められた。
さらに、腎臓内にはウイルス様粒子が認められ、
腎尿細管には核たんぱく質(NP)抗原が蓄積していたことが確認されたという。
別の調査では、COVID-19の患者にの多くに腎機能障害がみられ、
そのうちごく一部に急性腎障害が発生した。
この研究からはCOVID-19の重症死亡患者と、
蛋白尿、血尿、血中尿素窒素、血清クレアチニン、尿酸、Dダイマーの上昇が
有意に関連することが示されている。
このことから、腎機能障害のマーカーは院内死亡リスクと関連するため、
患者の腎機能のモニタリングは十分な注意が必要であることが示唆されている。
4)重症化する患者の特徴は?
新型コロナウイルスの感染が広がるにつれ、
高リスク者を特定するためのマーカーの開発が急がれている。
最初の震源地となった中国、
そしていまのところ世界で最も死亡率の高いイタリア(12.97パーセント、ジョンズ・ホプキンズ大学調べ)
で明らかになっている重症化の傾向は、男性、高齢者、持病もち
(高血圧、心疾患、糖尿病、ぜんそくなど)だった。
・若者を含む肥満の人たち
ところが、英国と米国での感染が広まっていくうちに、
比較的若い患者の重症化も報告されるようになってきた。両国の医師たちによると、
集中治療室(ICU)に運ばれる患者はたいてい肥満の男性だという。