これまでの研究では、肥満は糖尿病、高血圧、心疾患などの病気を併発しやすいことがわかっている。
世界各国の肥満率を見ると、中国は6.2パーセント、イタリアは19.9パーセント、
英国は27.8パーセント、米国は36.2パーセントとなっている。
ちなみに日本の肥満率は4.3パーセントである。
英国の大学の調べによると、73パーセントの(集中治療室に運ばれた)重症化患者は男性で、
73.4パーセントが肥満だったと伝えられている。
また一部報道によると「人工呼吸器を付けている50歳未満の患者の90パーセントは肥満」だという。
この性差とBMI(体格指数)は特筆すべきものだ。
「このウイルスは恐ろしいもので、若者、特に肥満の若者を襲う可能性があります。
太りすぎの人は本当に注意する必要があります」と、
フランスの免疫学者ジャン=フランソワ・デルフラッシー教授は言う。
「肥満の問題がよく知られている米国が心配です。
おそらく肥満のせいで最も大きな問題を抱えることになるでしょうから」
反対に世界的な傾向として、持病をもたない65歳以下の人々は、
男女ともに感染しても死亡リスクは非常に小さいことが報告されている。
・男性
ACE2とTMPRSS2の遺伝子発現レヴェルと重症化の関連について
イタリアで実施された調査では、イタリア人集団においてACE2の発現量は、
性別差や重症化と明確な関連はみられなかったという。
ところが男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体でもある
TMPRSS2の発現量とその遺伝子変異は、
COVID-19の重症化に寄与していたと発表されている。
これは男性に重症化患者が多い理由のひとつになる可能性がある。
なお、アンドロゲンは、
男女ともに筋肉や骨、血管、脳、生殖器などに幅広く作用する。
・子どもは症状が軽い
中国での報告と同じように、米国でも18歳以下の子どもは新型コロナウイルス感染症において、
大人よりもはるかに軽症であることが報告されている。
子どもたちの症状は軽いだけでなく、
実際にCOVID-19であると診断される可能性も低い。
2月12日から4月2日までの記録によると、
18歳未満の子どもたちは米国の人口の22パーセントを占めるにもかかわらず、
COVID-19の患者はわずか1.7パーセントだった。
「強調したいのは、この病気にかかっている子どもたちのなかには、
無症状で非常に軽い症状のある子どもたちが大勢いるということです」と、
ニューヨーク州グローバルヘルスのディレクターであるエリック・ペナ博士は言う。「この年齢層の死亡リスクは高くないのは確かです。それを人々に知ってほしいのです」
しかし、子どもや若者でも重症になるケースがないわけではない。
その場合、ぜんそく、心臓病、免疫力の低下(例えば、がん治療など)といった
基礎疾患のある患者がほとんどだという。