山崎製パンの「ランチパック」の表示に
「このパン品質改善と風味向上のために臭素酸カリウムを使用しております。
残存に関しましては厚労省の定める基準に合致しています」とあります。
しかし、果たして大丈夫なのでしょうか。
まず臭素酸カリウムですが、パン生地改良剤(製パン改良剤)あるいは
小麦粉処理剤と呼ばれる食品添加物です。
パンを焼く時の生地に臭素酸カリウムを添加すると、
小麦粉のたんぱく質に効果的に作用し、
パンの品質(膨らみ方や食感)が向上するといわれています。
食品衛生法の下で以下のような使用基準が定められています。
・パンのみに使用できる
小麦粉1 kgにつき0.030 g以下(30 ppm)まで使用可(臭素酸換算で)
最終食品の完成前に分解又は除去しなければならない。
※公定試験法で「検出せず」が求められる。検出限界は0.5 ppb(=0.0005 ppm。パン1 kgあたり0.0000005 g)
「食品の加工の際に添加されるものであって、
食品の完成前に除去されるもの」は「加工助剤」に該当します。
食品表示法上、加工助剤は、食品添加物としての表示は不要とされています。
では、安全性に関してですが、
遺伝毒性発がん物質(遺伝子を直接傷つけるタイプの発がん物質)であることが
指摘されています。
1980年代に発がん性が指摘され、日本における研究ではラットに対して
発がんのイニシエーター(遺伝子そのものを傷害する作用)、
プロモーター(発がんを促進する作用)の両方の作用を有するという
結果が報告されています。
このようなことから、臭素酸カリウムは遺伝毒性発がん物質であると考えられます。
一方で、パンを焼成する過程で熱により分解が進むということも考慮し、
1982年に使用基準がA2のように改正され、現在に至っています。
山崎製パンのホームページを見ますと「ランチパック」も多岐にわたり、
「ジャムやクリームをサンドしたスイーツ系からたまごやハムの入った
惣菜系までバラエティー豊かなラインアップを常時全国で40~50品ご用意」
と書かれています。
お墨付きでこのような製品を今もなおコンビニなどで販売していますが、
大手で使用しているのは山崎製パンだけであり、企業モラルが問われます。
レーズン好きのレーズンブレッドにも使用されています。
パン生地改良剤・臭素酸カリウムの諸外国の規制ですが、
米国では使用が認められている一方、EU等では使用が禁止されています。
米国食品医薬品局(FDA)が小麦粉の全粒粉に75 ppm未満、
漂白粉に50 ppm未満の使用を認めています。
FDAはパン中の臭素酸残留量の安全レベルを20 ppb以下と評価しており、
高感度分析法を開発し、この値を超えないよう
残留臭素酸のモニタリングが行われています。
英国では、1990年、臭素酸カリウムが最終食品に残留しないという
確証が得られないとして、パン製造時における使用が全面的に禁止されています。
EUでは1994年に「特定危険物質の販売・使用制限に関する理事会指令」の
別表の発がん性物質のリストに臭素酸カリウムが掲載されました。
そしてEU加盟国のほとんどは1997年までに使用を禁止しています。
南米ではメルコスール(南米南部共同市場)が1993年に統一添加物リストから
臭素酸カリウムを削除し、加盟国は2003年までに国内での使用を禁止しています。
中国では「食品添加物使用衛生基準」で
小麦粉焙焼物中の臭素酸カリウムの残留基準値は30 ppmと規定されていましたが、
2005年7月1日から小麦粉処理剤として小麦粉に使用することを禁止しています。
こうしたことを全く無視ているのが、山崎製パンの姿勢ですから、
不買運動がなぜ日本で起こらないかです。
一般消費者が虚仮にされているからにほかなりません。