修道院では開設された時から2000年間、
ハーブの治癒力に基づくハーブ療法が行われてきました。
それは断食療法と両輪のごとく展開されてきました。
最も注目されたのは精神的な病です。
誰でも極度の緊張感の時があったり、
明日、試験だから眠れないなど常にあることなのです。
特に大切な人を失うとうつ状態になることもあります。
私も最初の妻が42歳で心臓まひで急死しましたが、
おそらく1ヶ月はうつ状態でした。
また今回、すでに2年半になるコロナ禍もそうですし、
これから約1ヶ月に梅雨など季節的にも精神的なトラブルが出てきます。
修道院のハーブ療法は特にドイツで発達しましたが、
ドイツはかなり長い冬の期間があり、
ドイツの修道院では精神的トラブルに対して次のようなハーブをよく用いたのです。
まず精神的なトラブルの最初は、不眠と神経過敏です。
この症状に
1・バレリアン
バレリアンは、別名「セイヨウカノコソウ」というオミナエシ科の植物になります。
古くは古代ギリシャ時代から、
精神や神経を鎮めることで眠りを深くする植物として使われてきました。
バレリアンをアルコールで溶かしだしたチンキ剤や、
パッションフラワーなどと組み合わせたものもあります。
ヨーロッパを中心に、マイルドな鎮静剤として
情緒不安定や不眠症などに使われてきました。
日本でも第二次世界大戦前までは、鎮静剤として使われていました。
ドイツやフランスなどでは、医療用ハーブとして
不眠や不安に対して使用が認められています。
バレリアンは、GABA(注・01)への作用が考えられています
日本ではサプリメントが売られていますが、
やはり生のハーブ、つまりバレリアンの根を12時間の水出し、
それを温めて1日数回、飲むようにするのが修道院の長年の伝統です。
GABA(注・01)
血圧抑制や抗うつなどの効果があるとされるアミノ酸の一種。
γ(ガンマ)(gamma)-aminobutyric acidの頭文字からとった略語である。
日本語名はγ-アミノ酪酸であるが、江崎グリコが2005年(平成17)に
リラックス効果があるとしてGABA入りチョコレートを売り出して以降、
ギャバという呼び方が定着した。
GABAとは、脳の中で情報のやりとりをする神経伝達物質です。
脳の細胞に対して興奮を抑える方向に働きます。
ですから、GABAは睡眠にはプラスに働きます。
実は、多くの睡眠薬はこのGABAの働きを強めることで効果を発揮します。
バレリアンのGABAへの作用は、さまざまなものが考えられています。
GABA受容体への刺激作用
GABAの取り込み(分解)阻害作用
GABAの放出促進作用