人間はいかに甘味に弱いかです。
安全性よりも甘味を求める渇望は、幸福感を得るもとして最高のものなのです。
そしてドイツで発明されたズルチン、またダイナマイトの原料であり、
戦後、数年間は白砂糖を上回ることになります。
そこに1956年、人工甘味料チクロが食品添加物に指定されます。
チクロの甘味は砂糖の35~40倍です。
高濃度なので苦味があるものの、砂糖より豪快な甘味があります。
当時、上白糖は1㎏あたり108円でしたからそれが6円で済むので
加工食品のコスト削減になるわけです。
しかし、1968年にズルチンが発がん性、肝毒性があることがわかり、
全面禁止となります。
続いてチクロも同様と全面禁止となりましたので、
困ったのは加工食品業界で大混乱となります。
それゆえにサッカリンの危険性が国際的に問題となる中で
日本では使用期限付きで使用の認可が出ます。
サッカリンも発がん性のあると証明されているのに
再認可は明らかに業界救済のためです。
いずれも135年間用いられたサッカリンは様々な問題を起こしていきます。
様々な動物実験で分かったのは、肥満を起こす大きな要因であることです。
そして1日あたりの許容摂取量は定められて安全とされても
他の食品添加物との組み合わせでどうなるかは分からないのです。
添加物の安全性は2世代。
農薬の安全性は3世代でようやく結果が出るといわれていますので、
サッカリンが135年間なのでそろそろ結果が出ます。
そしてこうした人工甘味料よりも経済優先の加工業者には福音となる、
人工甘味料が登場します。
その第一弾がアスパルテームです。
商品名は、味の素から「パルスイート」で出ていますが、
このアスパルテームも危険性が指摘されて、多くの議論を巻き起こしています。
最も多く使用されている食品添加物ですが、
最も賛否両論の尽きない議論が今もなされていますし、
アメリカで認可のプロセスがかなりスキャンダラスであり、
大西医師は最もスキャンダラスな人工甘味料だといいます。
まず歴史を調べますと1965年にアメリカのサール薬品社研究員が、
偶然発見したといわれています。
サール社では、胃液分泌ホルモンであるガストリンを研究するため、
そのC末端構造素材として、
α-L-アスパルチルーL-フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)を
再結晶していましたが、研究員が薬包紙を取ろうとして指をなめたところ、
偶然手についたアスパルテームが非常に甘いことに気がつき発見されたのです。
当時のサッカリンが発がん性の疑いでいた時だったので
このようなアスパルテーム発見で新たな信仰甘味料として注目されていきます。
1974年にはアメリカ食品医薬品局(FDA)から、
量産用卓上ドライタブレット製品としての使用認可を取得していたのですが、
妨害も入り、ようやく1981年にFDAは、
アスパルテームの乾燥食品に関する認可停止を解除され、
サール社は、「イコール」(ヨーロッパでは「キャンデレル」)の商品名で、
販売を開始したのです。
そして1983年には、アスパルテームの液体中での使用が許可されたので、
100%使用されたことなどをきっかけに普及していきます。